出版社内容情報
東 雅夫[ヒガシマサオ]
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内容説明
日本史の闇に君臨する美しき“鬼”たちの系譜、とりわけ王朝期に畏怖された、鬼族の王“酒呑童子”と眷属たちの物語は、いまも語り継がれている。そんな鬼たちの伝説を愛してやまない作家・加門七海と霜島ケイによる対談を始め、鬼退治のスペシャリスト“源氏”一統の伝説の書である「剣巻」(『平家物語』より)の現代語訳+原文などを収めた本書は、“鬼”文学入門書といえよう。
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。文芸評論家、アンソロジスト。『幻想文学』と『幽』の編集長を歴任。著書に『遠野物語と怪談の時代』(日本推理作家協会賞受賞)ほか多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
106
ちくま文庫でやはりこの方が編纂した「鬼」のアンソロジーを読んだことがあるのですが、かぶっていないのでまた別の観点から楽しめました。とくに筒井康隆さんの「桃太郎輪廻」には笑ってしまいました。また菊池秀行さんの「大江山異聞」はすべてを読みたい気にさせてくれます。「平家剣巻」という本があり加門七海さんの現代語訳で初めてこのような本を知りました。2023/10/30
HANA
67
「鬼」に関連した作品を集めたアンソロジー。先に読んだ吸血鬼に比して、鬼はやはり土俗的なイメージが付きまとうな。収録作は桃太郎に関連するものと、平安の射干玉の闇を纏うものの二つに大別できる。ただ一風変わったものが収録されているのも特徴で、芥川の「桃太郎」は兎も角、筒井康隆の「桃太郎輪廻」を収録した鬼アンソロジー等これが初めてではなかろうか。好きな作品だけど。特に好きな作品は桐島ケイ「鬼の実」と馬場あき子「女と鬼」かな。編者の今までの鬼アンソロジーと区別化させるため、焦点がぼやけた気もするけど面白かったです。2022/11/02
まさ☆( ^ω^ )♬
14
「鬼」をテーマにしたアンソロジー。本屋で目について即買いでした。こういうの大好物なので、積読せずに直ぐ読みました。面白かった。芥川龍之介「桃太郎」、筒井康隆「桃太郎輪廻」、菊池秀之「大江山異聞 鬼童子」、野坂昭如「酒呑童子」が最高でした。霧島ケイ「鬼の実」が一番好きかな。 大江山異聞は長編全編が読みたくなりました。2023/03/30
ハルト
11
読了:◎ 個人的には〈鬼〉というと〈封殺鬼〉シリーズを思い出すのだけれど、その作者である霜島ケイさんの「響鬼」についてのインタビューと作品「鬼の実」を読めたのがよかった。「響鬼」は観たことはないけれど、少し興味を持った。けれどインパクトが強かったのは筒井康隆の「桃太郎輪廻」。作者らしくぶっとんでいる。多かったのは酒呑童子についての物語。馬場あき子のエッセイが印象深かった。史上初の現代語訳「平家物語」の「剣巻」が収録とのこと。どの作品も選ばれて収録されただけあり、おもしろく読めた。 2023/12/01
モリータ
10
◆2022年刊。桃太郎・酒呑童子を中心に、近現代の鬼が登場する物語のアンソロジー。普段読まない時代物エンタメに触れることができてよい(加門七海「鉢の木」、菊池秀行『大江山異聞』)。◆授業のついでに読む。2023/10/12