出版社内容情報
夜ごと華麗な舞台が繰り広げられるオペラ座。だが、その地下では全く別のドラマが進行していた。幽霊騒ぎを端緒に、続発する奇怪な出来事。恋い慕う歌姫を追って事件に巻き込まれたシャニイ子爵の運命は? 人外境と化したオペラ座の奈落の闇にひそむ幽霊とは何ものなのか? 『黄色い部屋の謎』と並び称される、ルルーの代表的傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
74
その夜オペラ座の舞台で勝利をおさめたのは彼女だった。突然の代役で人間離れした技を見せつけ、一夜で観客を魅了した若き歌姫 ダーエ。彼女に恋する子爵は、オペラ座の闇奥でファントムが起こす事件に巻き込まれてゆく——ゴシックホラーの名作。遠回しでまだるっこしさも感じますが、この古めかしさが美しい。2022/05/12
セウテス
72
〔再読〕絢爛豪華な舞台が繰り広げられるオペラ座のその裏では、奇怪な出来事が続発していた。首吊りの死体が見つかり、シャンデリアが落ちる、舞台裏を暗躍する仮面の幽霊「オペラ座の怪人」とは何者なのか。読み比べた翻訳は、此で五冊目になります。この作品は何故か翻訳者や時代の違いで、かなり読みやすさや受ける印象が変わります。他社に現代的で読みやすい作品が在りますが、雰囲気や感情表現に違和感を感じます。時代の重みを読みにくいの一言で敬遠するのは、物語の本質を理解出来なくして仕舞います。最終的にこの作品が最良と感じます。2015/08/28
ピッポ
50
【再読】原作の怪人は、映画や舞台と異なり醜く残忍で恐ろしいキャラクターとして描かれていますが、彼が抱えている苦悩とクリスチーヌへの愛がより強調されていて、ラストの独白には心を揺さぶられました。恋愛、怪奇、ミステリなど様々な要素を持ったミステリアスな作品でした。2017/05/13
背古巣
46
興味深く読みました。この世のものとは思えぬほど醜く生まれてしまったエリック。ただ人並みに愛されたいと思うが故の悲劇と言えるでしょう。現代で言えば、エリックはストーカーですね。でもその心情には、彼は犯罪者ではありますが、同情できるところがあります。クリスティーヌはその美しさと気高さで素敵な女性と思いましたが、ラウルには、申し訳ないですが、怒りを感じました。自分の感情だけで突き進んで、どうにもだめです。名作を読んだのに、こんなレビューしか書けませんm(_ _)m。2020/05/09
佳乃
35
醜い容姿上に愛に飢えているエリック・・・哀れでいたたまれない。けれど、言葉の暴力恐怖から得る愛には何も残らない。オペラ座の構造が入り組んでいて面白い。こうして本を読んでいると、だいぶ本とは違う設定で演じられていたことに驚く。2015/08/17