1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
281
既読のガーディアン必読1000冊の中では、その通俗性において最右翼に位置する小説。ディケンズの『二都物語』に着想を得ていることは明らかだが、本編には歴史のうねりや、そこに置かれた人々の葛藤といったものはない。フランス革命を背景に借りた冒険活劇ロマンといったところ。読者には、かなり早い時点で「紅はこべ」の正体がわかるだけに、ヒロインのマルグリートの行動には、いくぶん滑稽な感も残る。また、その表現も(訳文ではあるが)「ヨーロッパ一の才女、その美、その機知、その豪奢」と、仰々しい割にはうったえかけるものがない。2015/12/14
たつや
54
何処でこの本を知ったか?忘れたのが悔しい。タイトルを見てずっと、日本文学だと思っていたら、フランス革命中のヨーロッパを舞台にした、秘密結社登場の空前絶後の冒険譚で意外でしたが面白く読めました。宮崎アニメのようなワクワクもあり、良い。2017/06/24
NAO
46
児童文学全集で読んだことはあったが、完訳は初めて読んだ。妻への思いと自分のプライドとの間で揺れ動くパーシーと、衆人の前で愚鈍を装うパーシーのギャップにはちょっと驚かされるが、機知とユーモアでフランスの大使を煙に巻くシーンも含め、イギリス貴族の機知、プライドの高さなど、貴族の特質が巧みに描き出されていておもしろい。とはいえ、義侠心から行う危険な行為も「スポーツのように楽しんでいる」と言ってのけるわりには派手な立ち回りもなく、もうちょっとハラハラドキドキがあってもいいのではないかと思った。2015/11/15
Miyoshi Hirotaka
36
ネルソン・マンデラが自伝で引用。神出鬼没の主人公になぞらえ、地下活動期の自身を「黒はこべ」と称して一章を設けている。作品が上梓された20世紀初頭はルパンやホームズの小説が流行った時期と重なる。また、英仏の作家が作品中で互いの国を揶揄する伝統は「ハリー・ポッター」にも受け継がれているから興味深い。この作品では、フランス革命が悪者。理不尽な暴力で断頭台に送られるフランス貴族を救う正義のイギリス紳士が主人公。変装の名人、執拗に追いかける悪役、絶体絶命の危機からの脱出、絶世の美女など後年に引き継がれるネタが満載。2023/09/14
はらぺこ
30
登場人物の会話などからは個々の年齢が分かりにくかったので人物像がイメージ出来なかった。映画とかマンガやったら面白かったんかも。この訳がベストなんかどうか知らんけど現在の翻訳家の人が訳したのを読んでみたい。2018/09/29