創元推理文庫
罪・万華鏡

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  • サイズ 文庫判/ページ数 244p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488467098
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ある日突然、友人・魔作子を殺害し、それを天誅と言った正子。彼女は上流家庭に育ち、絵画の才能を伸ばすための留学を控え、充実した日々を送っていたはずだった。何が正子を凶行に駆り立てたのか?精神分析医・吹原は対話と調査から、彼女の生活と心を撹乱した原因を探ろうと試みる。日常に潜む無意識の悪意が作る罠と、少女の心に眠る真相とは。「異常心理」他、全四編を収録。

著者等紹介

佐々木丸美[ササキマルミ]
1949年北海道生まれ。75年『雪の断章』でデビュー。77年『崖の館』を発表、抒情と幻想を湛えた独自の作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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雪紫

56
文庫にて再読。仮に罪を犯したものを正子、正世、正恵。被害者(もしくは深く関わる)となる友人を魔作子、魔作世、魔作恵としよう。ひとりの精神科医(吹原さん)がほどく、罪を犯した背景。魔を作りしものが正の字を持つものを汚し、追い詰めていく。淡々としてるようで、丸美さん節が自然と出て来る。悪意とねじ曲がりの恐ろしさ。文章や語り手が抑えめだからこそ余計効く。わたしが正子達の立場だったら耐えられない・・・出た時代より、今の時代だからこそ効く一冊(カレイドスコープ)がここにある。2022/04/08

藤月はな(灯れ松明の火)

35
「罪灯」の冬都の話で登場した精神科医、吹原氏が関わった、「正」は事件上では加害者だが精神上では被害者であり、「魔作」は被害者であるが加害者であるというコンセプトで構成された裁かれない罪によって追い詰められた魂の救済。「罪灯」では少女は殺意を叶えたことで優越感に浸り、恋をするまでは罪を隠そうとする意識もなかったという立場だがこの作品は人の悪意や毒を周囲が受け取り、それが加害者となってしまった者を追い詰めたというので罪を覆い隠そうとする意志などがあるのが対比的です。しかし、レッテルを安易に貼ることはできない。2013/03/28

こりんご

23
以前は繰り返し読んでいた佐々木丸美さん、久しぶりに購入してみました。《館シリーズ》ではおなじみの吹原医師(精神分析医)の仕事振りを、女性助手の目を通して描かれています。参考文献などは載っていないのですが、きっと心理学や法律はもちろんあらゆる本を読んだのだろうことが、どの作品からも窺えます。視線・噂・傍から見れば取るに足らない言動などが原因で追い込まれた女性たちの物語。いつも鮮やかに謎を解き明かしてきた吹原先生が、実は手探りで真実に辿り着いていることも多いんだと知って人間味が増しました。2013/05/26

みこと

18
何年もブランクを開けながら何度も読んでいる佐々木丸美作品。時間を空けて読むと前とは違う箇所でまた新しい感じ方ができる。30年近く前に書かれた物語なのに未だに心に突き刺さるし身につまされたりもする。人の心理とは、良心とは、幸福とは、と考えさせられることも多く、私にとってはまさにバイブルといってもいい本。またしばらくしたら読みたくなるんだろうなぁ。深層心理や無意識というものについて勉強したくなる一冊でもあります(^^)2014/12/02

こゆび

16
連作短編集。精神分析医のもとに送られてきた4つのカルテ。精神異常を疑われた加害者たちの心理を紐解くことで見えてくる事件の奥底、被害者の顔。罪と悪意の差は何なのか。この世は、些細な言動に込められた悪意が散らばる万華鏡。歪んだ笑みは誰のもの。2021/05/11

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