内容説明
欧州の城グラン・ギニョール城に招かれた名探偵ナイジェルソープ。客の間には緊張が漂い、嵐の夜を境に惨劇が続く。一方、弁護士・森江春策は、偶然遭遇した怪死事件の手がかりとなる探偵小説『グラン・ギニョール城』を探し当てたが、彼を嘲笑うかのように小説世界は現実を浸食してゆく。虚実混淆の果てに明らかにされる戦慄の真相とは?本格推理の金字塔、待望の文庫化。文庫書き下ろし掌編「レジナルド・ナイジェルソープの冒険」収録。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年大阪府生まれ。同志社大学卒。86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞に佳作入選し、90年には『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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セウテス
89
【森江春策】シリーズ第12弾。森江春策は大阪への帰り、列車の中で倒れた男を救おうとするが、男はミステリーリーグ一冊とグラン・ギニョールの言葉を残して亡くなる。1930年代に探偵ナイジェルソープが携わった、グラン・ギニョール城における殺人事件。その幻のミステリ小説と森江の調査が交互に語られる作中作の設定なのだが、やがて現実と虚構の物語がひとつに融合していく。古典ミステリへのオマージュに溢れる作品で、途中何度もワクワクする。この雰囲気は絶対的に大好きで、作者も海外古典の魅力を現代に表現しようと試みたのだろう。2020/06/12
ダイ@2019.11.2~一時休止
61
森江春策の事件簿その12。過去の話と現在の事件がつながった所が一番の驚きでした。トリックの一部に若干納得がいかないものの面白かった。2014/08/31
おくりゆう
18
グラン・ギニョレスクな惨劇が行われる欧州の城を舞台とした幻の探偵小説と現実の日本の物語が交互にすすみ、やがて交わり、その先に真実が明らかに、という次第で、1章1章のテンポがよく、作中作の一つ一つのトリック自体には正直目を見張る、というほどはありませんでしたが(失礼)、全体としての構成、物語は面白かったです。2016/05/05
gonta19
18
購入日不明。 2012/8/6~8/12 ものすごく趣向を凝らした本格もの。森江春策が、フィクションの世界と現実の世界を鮮やかに解決。古き良き時代のミステリを愛する芦辺拓氏ならではの名作。2012/08/11
coco夏ko10角
16
森江春策シリーズ。現実と虚構がどんどんと…。前半に比べて終盤がちょっとばたばたしてる感じもするけど、だらだらやったら締まらなかったからいいのかも。2021/05/02