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1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに―。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物話。『犬はどこだ』の著者の代表作となった清新な力作。
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
515
高校からの帰り道、雨宿りする一人の少女と出逢う。ユーゴスラヴィアから来たマーヤと過ごした2ヶ月、日本文化への好奇心を隠さない彼女の疑問の答えを見出す日々を過ごすうち、彼女に惹かれていく。久々にどんな展開になるのか全く読めないストーリーでした。内戦のニュースを耳にする程度というユーゴスラビアについての自分の無知からか、分裂した6つの国の何処へ帰ったのかという物語最大の謎の答えにもあまりピンと来ませんでした。ただ、「王とサーカス」の大刀洗万智、高校時代の彼女と出会えて、懐かしい気持ちになれました。2018/05/25
hiro
294
『王とサーカス』を読んだあと、新刊チェックでベルーフシリーズの短編集『真実の10メートル手前』がでることを知って、未読だったこの本を読んだ。そして古典部シリーズとして書く予定だったが、独立した作品となったことを知って読んだ。この作品を分類すると、日常ミステリ、青春ミステリとなるのだろうが、他に重いテーマを持っていた。ユーゴスラビア紛争があったことはもちろん知っていたが、第二次世界大戦後のユーゴスラビアは6つの共和国からなることも知らずにいた。マーヤのおかげで現代史が勉強できる、少し変わった小説だった。2015/12/09
ダイ@2019.11.2~一時休止
280
べルーフその1。マーヤの話が伏線となり良かった。Wikiでは次作が今年中に出るらしいが何時なの?2014/07/20
夢追人009
217
米澤穂信さんの老若男女多くの方に永く読み継がれるべき青春小説の傑作。ユーゴスラヴィアから来たヒロインのマーヤは異邦人ではあるけど古典部の千反田えると同じ可愛らしさの血を引くアイドルで「んー、哲学的意味がありますか?」の決め台詞は「わたし、気になります」に匹敵するパワーがあるでしょう。米澤さんは弓道の専門用語や死語と化しつつあるやや難解な古風な表現を通じて外国人から見た日本文化の特異さを浮き彫りにし見直させてくれています。日常の謎の優劣など気にせずに抒情性に満ちた涙の感動作をぜひ多くの方に読んで欲しいです。2018/12/14
文庫フリーク@灯れ松明の火
214
「魚が言いました・・私は水の中で暮らしているのだから、あなたには私の涙が見えません」見えないあなたの涙に想いを重ね、紫陽花のバレッタに変えよう。遠くユーゴの地のあなたを想い、涙と想いを私達が出逢った藤柴市の土に還そう。『王とサーカス』読むためとはいえ、東山彰良さん『流』読了後の【マーヤ】再読は、台湾同様ユーゴへの無知を知り、一層の切なさ感じさせる。日本での滞在先・父の友人が亡くなっており、途方にくれ雨宿りしていた17歳のマーヤと出逢った高校生・守屋路行と太刀洗万智。父の仕事に伴い各国を巡り、91年の時点→2015/08/24