内容説明
夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々―江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。矢吹山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、一瞬にして陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われでもしたように出没する殺人鬼。その魔の手にかかり、ひとり、またひとりとキャンプ仲間が殺されていく…。いったい犯人は誰なのか。そして、現場に遺されたyの意味するものは何。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
731
かなり久しぶりに読み直した。新本格第一世代のデビュー当時の作品は、帯のセールス文句にあるように、もはや古典。当初の新本格は、多分に青春小説の側面も持ち合わせており、特に有栖川氏の学生アリスシリーズは色濃く、再読の際には当時の自分の姿がフラッシュバックするようなノスタルジィがあるのが良い。ロジック面では、一人の証言だけで事実を確定させてしまう事があり、ソコが気になると言えば気になるが、クローズドサークルでそんなに都合よく証言を補完しあえる方が不自然なので、これくらいが丁度良い案配なのだろう。面白い。2016/11/13
Tetchy
532
デビュー作における有栖川氏の非凡さが大いに引き立った。また内容も題名に「ゲーム」の名を冠しながらも、単なるパズルゲームに終始していない。総勢17名の登場人物はそれぞれ個性を発揮して単なる駒に終わっていないし、殺人事件が起こることに対する登場人物らが抱く心情も丹念に叙述し、読者の共感を促している。山の噴火を単純に奇抜なクローズド・サークルに設定しただけでなく、事件の真相に大いに寄与させているのが技巧の冴えを感じた。真相は納得の範疇。2009/09/30
勇波
332
初有栖川作品です。。「双頭の悪魔」が読みたくてまずはここからです。この作品が出てから20年以上経ってるんですね〜。火山の噴火のもと、こちらが恥ずかしくなるような若者の緊迫感のない会話が炸裂です。これも「新本格」と言われた所以でしょうか?もちろん嫌いではありません★2014/11/23
nobby
298
学生アリス1作目。デビュー長編にして、クローズドサークル物・ダイイングメッセージと本格ミステリ。何よりは登場人物多い!あだ名で呼びあうこともあり、その把握に四苦八苦…結構影薄い人や似た名前も多く…どんどん読み進めたが、どちらかというと火山の噴火から逃れるスリル感がたっぷり(笑)それにしても、たまたまキャンプで一緒になった男女の数日間がその動機を生むのにはちょっと違和感。2014/08/12
ダイ@2019.11.2~一時休止
238
学生アリスその1。デビュー作。クローズドサークルの王道モノ。登場人物の多さと犯人の動機が弱く感じたが、とても楽しめた。2013/10/10