内容説明
タフでなければ生きていけやしない。嚢中すこぶる寂しい「わたし」の食事は連日即席ラーメンなのだ。そういえば、貧乏人は麦を食えとか、問題発言があったっけ。常常綺羅の晴着なしという諺に学ぶべき点は認めるし、いつもビフテキや鰻、フランス料理を食べたいとは言わないが、窮状に喘いでばかりでは自慢の脚力も衰えてしまう。さっさと仕事をつかまえて「三番館」へ行こう。
著者等紹介
鮎川哲也[アユカワテツヤ]
1919年2月14日、東京生まれ。『黒い白鳥』『憎悪の化石』で第13回日本探偵作家クラブ賞受賞。『黒いトランク』『死のある風景』など著書多数。第1回本格ミステリ大賞特別賞、第6回ミステリー文学大賞特別賞受賞。2002年9月24日逝去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
297
★★★☆☆ 〈三番館〉シリーズ最終作。 軽めのミステリをバーテン氏がサクッと解決する作品が続く。いつも通りのロジカルな推理と適度な短さで、時間潰しにちょうど良い。 殆どの話はバーテン氏に教えてもらう前におおよその真相は看破できた。犯人だけであれば怪しいのはほぼ1人か2人しかいないので全作見抜けたが、真相まで見抜けなかったのは、複雑な真相すぎた『写楽昇天』と、最後の作品のため集中力が切れていて推理を放棄した表題作の2つ。好きなのは完全にバーテン氏と同様の推理過程を辿ることができた『クライン氏の肖像』。2023/10/04
セウテス
69
三番館シリーズ第6弾。最後の短編集となるが、鮎川氏は本作をラストとする気は無かった様で、いつも通りの静かな終わりです。「クライン氏の肖像」や「写楽昇天」は、別に画の作者には関係が無く、その画の消失トリックを見破る物語。一つの事実や説明から、視点を変える事でトリックが見えてくる。「人形の館」は、周りを色々と飾ってはいるが、本当に一寸した錯覚を利用したもの。解れば「何だぁ」となるかも知れないが、それを推理してバーテンの答え合わせを待つ、その時間が充実したひとときに感じる。ミステリの謎を解くを、素直に楽しめる。2017/09/05
coco夏ko10角
30
三番館シリーズ第6弾・最終巻。今回は7つのお話収録。ミステリは『人形の館』がよかった。これでシリーズも終わり、ちょっと寂しい。バーテンさん自身のことは謎のままだけど、だからより魅力的なのかもしれない。2018/11/19
タツ フカガワ
15
短編7話の連作。事件を語り探るのは横文字嫌いの探偵で、JRではなく国電であり、E電(山手線)の呼称を嫌うというのが面白い。その探偵が調査に行き詰まると銀座電通通りにあるバー三番館へ向かう。鬼貫シリーズはアリバイ崩しに悶々とする姿が読みどころのひとつだけれど、安楽椅子探偵である三番館のバーテンは一気に謎を解明する。たまにはミステリーパズルもいいですね。2018/07/12
KAZOO
8
これは鮎川先生の短編集です。安楽椅子探偵もので海外でも日本でも結構ありますが私はこの三番館シリーズはアシモフを思い起こさせてくれるので大好きなシリーズの一つです。何度も読んでいるのですが、いつ読んでも新鮮な感じがします。今回は最後の第6集から読んでみました。どれも論理立てて解決を示してくれるので飽きが来ません。2014/04/18