感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
67
昭和26年1〜12月、「面白倶楽部」に連載された作品。風変わりな洋館を舞台にした、乱歩らしくない、変態性も怪奇趣味も見られない本格推理小説、と思ったら、本作は乱歩のオリジナルではなく、米国作家ロジャー・スカーレット「エンジェル家の殺人」(1932年)の翻案小説とのこと。ロジャー・スカーレットという作家は知らなかったが、女性二人の合同ペンネームということで、エラリー・クイーンの女性版と言ったところか。著作が1930年代が中心で、時代的にも同時期。ロジャー・スカーレットのオリジナルも気になるので読んでみたい。2018/05/18
オフィーリア
30
兄弟で長生きした方の一族に莫大な財産が全て相続されるという、さあさあ事件よ起きて下さいと言わんばかりの嫌な遺言を巡る館物。当然の如く凄惨な殺人事件が起きるのですが、海外の推理小説の翻訳版の為、江戸川乱歩作品にしては毒気が薄めです。中身はアリバイ工作あり、不気味な不審者あり、密室での不可能犯罪あり、とどめには読者への挑戦状と正統派ど真ん中な推理小説でした。大満足です。2018/09/06
coco夏ko10角
29
『エンジェル家の殺人』翻案小説。長生きした方が全財産を相続することになっているため数十年家族ぐるみで長生き対立をしている双子、ある夜片方が殺され…。雰囲気たっぷりの館、そこに住むいかにもな人達、いいぞ~。読んでてワクワク。暗闇で待ち伏せる場面では森川と一緒にドキドキ。犯人はなんとなくわかったけど動機が…ちゃんと整理すれば確かに。面白かった。2021/04/29
Shinobi Nao
14
不自然に二つに区切られた館。財産を巡りそれぞれ思惑を抱く両家の面々。そこで起こる殺人事件…。典型的なサスペンスで、犯人は誰?動機とトリックは?と、こちらもセオリー通りにドキドキはらはら。残念ながら明智小五郎は出てきませんが、探偵さながらの推理をする篠警部もなかなかのものでした。2016/04/08
T
8
ポプラ社版を子供の頃に読んだが 細かい事は覚えて無かったんでほぼ初読。ポプラ社版の後半巻は作風がかなり違うなぁ、と子供心に思ってたが、これも翻案だったのね。 乱歩の翻案ものはサスペンス的な話も多いが、こちらは洋館内での遺産相続や謎解き等 いかにもな推理物という感じ。オリジナルは未読ですが、キャラクターが乱歩らしくディフォルメされて判り易いですな。 今の目で読むとツッコミ所もあれど、挿絵や雑誌上での読者への挑戦も含めて 時代を感じつつ楽しめます。2017/06/15