出版社内容情報
ピーター・アントニイ[ピーターアントニイ]
著・文・その他
永井淳[ナガイジュン]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
112
★★★☆☆ 多くの人に恨まれていた男が密室(衣裳戸棚の中に女が1人いたけど)で殺され、それを探偵役のヴェリティが解決する。 密室の謎は、盲点をついたもので全然気付かなかったが、どちらかというと脱力系で、あっと驚くというようなものではなかった。寸劇コントでありそう。 おそらく本書の売りは、軽妙かつシニカルなユーモアだと思うが、訳のせいなのか個人的にはあまり響かなかった。 分量は余りないので軽くミステリを楽しむには程よい感じ。2019/08/30
セウテス
53
登場人物が挿し絵で紹介されているので、とても把握しやすいです。ホテルの一室ドアも窓もロックされており、男が一人背中から撃たれている死体が発見されます。完全な密室であるのですが、部屋に備え付けのタンスの中に何故かウェイトレスが縛られて入っています。1951年の作品なので、現代では謎にならない殺人ですが、論理的に会話を中心に検証してゆき、二転三転する話は素晴らしいです。密室の謎は発想の転換が必要で結末は正にブラックユーモアが漂います。ミステリーとして類似の作品が少ない範囲であり、是非とも楽しんで頂きたいです。2014/10/17
雪紫
23
再読。2人の探偵役のキャラクターや挿入される容疑者達のイラストとあいまってクスリとしてしまうユーモア感溢れる古典で、密室の真相がユニークかつブラック。この密室の真相はスレたミステリマニアにも解けやしまい・・・。とりあえずラストの一文に含みあるのはわたしの勘繰りですかね?2019/05/15
紅はこべ
22
ラストでおいおい、こんなのありかよと大笑い。これもバカミスに入るのかな。こういう冗談は大好きだ。
らきむぼん
17
密室の傑作だが、その本質はプロットに無駄がないことに依る。物語に「密室」が不可欠であり、それが密室モノである所以ともいえる。同様に「ユーモア」のミステリであり、これもまた不可欠。邪悪さが払拭された世界のためには、なくてはならない。この「密室」と「ユーモア」がプロットを支える二本柱であり、そこに不可能状況や幾つもの仮説のスクラップアンドビルドが加わることで、魅力的な謎とその解明の物語が成立している。最高のオチに導くプロットのための作家視点での必然性と、作中の因果がメタ的に転倒するところがすごく楽しい。2019/05/07