内容説明
世界大恐慌で全財産を失ったロバートとリリーの兄妹がヴォールブルグに来てから間もなく一年。長引く不況が町に影響を及ぼすなか、リリーは金持ちのふりを続けることに疑問を感じていた。そんなとき、ロバートは敷地内の氷貯蔵小屋で、ミイラ化した死体を見つける。一方、リリーも地元婦人会絡みの殺人事件に巻きこまれてしまい…。「グレイス&フェイヴァー・シリーズ」第三弾。
著者等紹介
戸田早紀[トダサキ]
1967年生まれ。津田塾大学学芸学部英文学科卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハレ
7
タイトルと裏表紙のあらすじをみて本を購入するからシリーズ物の順番には無頓着。この本もシリーズ第3作目でしたわ(笑) この物語、なんとも穏やかな始まりでなかなか入り込めなかった。アメリカ1930年代の歴史の描写もあり、中盤でようやく面白くなってはきたが、2件の殺人事件発生と以外な結末のわりには静かに終わってしまった印象。登場人物にはそこそこ魅力があるので次は順序正しく4作目を探そうかしら。でも手元にあるのは第2作なの。2023/11/20
蕭白
7
面白くなってきました。2018/10/07
rokoroko
4
フーバー大統領からルーズベルト大統領に代わるあたりのアメリカ。軽く楽しいミステリなんだけど、この時代の憂鬱さ閉塞感が濃い。今、政策で経済を鼓舞しているけど日本のこれからはどうなるのか。こんな時代に成らないだろうか。考えてしまった。話は面白いし、主人公兄弟も愛すべき存在で楽しかった2013/02/28
kagetrasama-aoi(葵・橘)
3
再読。グレイス&フェイヴァー・シリーズの第三作目。レギュラーメンバーに加えて、準レギュラーが定着してきた感じです。有能でインディアンの血が入っている警察所長のハワード・ウォーカー、下宿人で帽子屋を営む可愛らしい赤毛の女性フィービー・トウィンクル、新聞記者のジャック・サマー。この時代に起こった”ボーナス行進”なる事件が語られます。この事件全然知りませんでした!でも日本人にもお馴染の名前、マッカーサー将軍、アイゼンハワー少佐、パットンも出て来て興味深いです。この事件の取材に言ったジャックの活躍が凄かったです。2017/12/29
qoop
2
シリーズ3作目。大恐慌まっただ中のアメリカが舞台なだけに、当時の世相が色濃く反映されているのが面白い。予期せぬ失業や従軍経験で人が変わってしまい、悲劇の幕が上がる…と物語の大筋にも関係してくるほか、エピソードそのものが主役であるかのように描かれ、作品自体を特徴づける。今巻取り上げられた〈ボーナス行進〉はまさにそれ。主人公達がどういう時代に人生を送っているかが重苦しくも活写されており、そこが魅力になっている。2015/02/19