内容説明
橋の途中で消え失せた馬車、“小人”と書き残して密室で殺されていた車掌、行き止まりの廊下から消え去った強盗、誰も近づけない空中で絞め殺されたスタントマン等々、次々と発生する怪事件!全編不可能犯罪をあつかった、サム・ホーソーンものの初期作品十二編に加え、特別付録として、著者の代表作の一つであり、これまた不可解な墜死事件の謎を解く「長い墜落」を収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
86
医師サム・ホーソーンの事件簿第1弾。チェスタトン氏の短編集のスタイル。全12作品、不可能犯罪をテーマとしており、年老いた医師サムが酒のつまみに、思い出話として語るという設定。謎解きとしては、誰が犯人であるならば、この不可能犯罪が可能なのか推理していくと良い。よって、ある程度のAならばBならばという仮定を立てて、推理していく事になる。様々なパターンがあり、よく短編にまとまっていると思うが、挿し絵があると尚分かりやすいと思う。現代の科学捜査ならと考えてはいけない、純粋に自分の推理を楽しむのに最適な短編集だ。2018/10/29
ばりぼー
61
禁酒法下の1920年代、次々と起こる不可能犯罪を青年医師サム・ホーソーンが(推理の道筋をはしょって)鮮やかに解決する作品集。人口わずか数百人の田舎町でありながら、怪事件の発生率が異常に高く(笑)、老齢になったサム医師が酒を飲みながら回想するという形式をとっているので、ひょっとして「ほら吹き男爵」?とも思いますが、とぼけた掛け合いが楽しいので許します(笑)。現代の科学捜査の手にかかると秒殺されてしまうトリックばかりでツッコミどころ満載ながらも、純粋なパズラーとして味わうなら、これはこれでありでしょう。2015/05/14
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
41
サム・ホーソーン老医師が若い頃に出会った不可能犯罪の謎を語って聞かせるという半七捕物帳や巷説百物語シリーズのような設定にワクワクする。平和な田舎の村で次々と起こる怪事件。不可能犯罪短編集。2016/05/11
kyokyokyo3201
20
久しぶりに本格的で正統派の推理小説を読んだという印象の一冊。1920年代のアメリカが舞台であり、その時代を映した背景が楽しめた。…が、海外小説も久しぶりでカタカナの登場人物の名前が覚えきれずあちこち頁を行き来する始末。自分の脳の劣化を呪った。2014/09/30
みっぴー
16
二巻を先に読んでしまったのですが、一巻もすごいよかったです!特に気に入ったのは、音楽堂の話です。忌まわしい歴史のある音楽堂でのコンサート…そして殺人、消えた犯人。この消失トリックのタネが明かされたときは、「うお!?」と叫びたくなりました(笑)ラストに収録されている長い墜落も、最後の霧がよかったです。次の巻も楽しみです!2015/06/01