内容説明
ルイジアナ州デイボーン。姿を消したマロリーをさがし、彼女の故郷を訪れたチャールズは、子供を抱いた天使の石像を見て驚いた。これは確かにマロリーの顔だ。17年前に惨殺された女医を悼んで刻まれた天使。腕の中の子供は、行方不明になった彼女の娘だという。一方、デイボーンでは、自閉症の青年が両手を負傷させられ、町の一角を占拠する宗教団体の教祖が殺された。そして、容疑者としてよそ者が勾留されているという。その名は、マロリー。誰にも一言も告げず、ひそかに帰郷した彼女の目的は?いま、石に鎖された天使が翼を広げる―過去の殺人を断罪するために!鮮烈無比なヒロインの活躍を描くシリーズ第4弾。
著者等紹介
務台夏子[ムタイナツコ]
英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
41
17年ぶりに故郷ルイジアナ州デイボーンに帰って来たキャシー・マロリー。でも町に着くなり、拘留されて檻の中。だから前半は、主にチャールズ目線でデイボーンの町や人々が描かれる。キャシー・マロリーの実母の死のいきさつはむごい。その母とともに傷ついた黒ラブのグッドドッグと再会したシーンは、ウルウルしてしまう。もうすぐ7歳になるまでのキャシーは、決して「氷の天使」ではなかった。「しょっちゅう笑っていた」し、自閉症のアイラと連弾もした。クライマックスの場面は、まるで映画のような展開だったので、夢中で読み進めた。2020/01/03
tom
23
とにかく硬くて面倒な文章。でも、マロリーさんの生い立ちを知りたいという気持ちから、読み続ける。そして、ようやく、この本で彼女の生い立ちが明らかになる。本編は、金儲け一筋のえせ宗教団体、その主催者の幼児虐待を暴くミステリー。終盤に至ってテンションは上昇し、登場した人たちの癒しに続く物語。面倒くさいミステリーではあるものの、それなりに読ませてしまうのがすごい。このシリーズ、これからも続くらしい。さてさて、どんな物語を描くのか。2020/10/13
タカギ
23
やっと…やっと読み終わった…。いつもの不親切設計で、現在の状況も、過去に何があったかも、整理された説明はなく、物語の進行に従って少しずつつかんでいくしかない。事件に関する情報は少ないのに、動物や自然の描写は過多。450ページあたりまで辛かった。翻訳を忠実に行おうとするとボリュームが出てしまうのはわかっている。そこを何とか割愛したりできないものかな~。最後まで読むと腑に落ちて、終盤までの忍耐の読書も報われたと思ってしまうことも少し悔しい。2018/08/23
たまきら
17
ぶっこわれた主人公マロリー、自分の生まれ故郷へ。そして彼女の帰郷から始まる血まみれの殺人…う~ん、刑事ものではありえないうやむやは気になりました。いつでも良心は優しい巨人・チャールズの独壇場で、ここもうれしくも悲しい。ライカ―も含め登場人物は魅力的で好きなんですが、どうもこの人のマジック演出など切り口に違和感があり、どこか納得できないんですよね~…。2020/12/19
わたなべよしお
15
とても面白いし、よく出来ているはずなんだけど。読み始めたら、あっという間に米国・深南部の濃厚な雰囲気に染まり、一癖も二癖もありそうだが、とても魅力的な人々に会える。しかし、オコンネルの作品なら「愛おしい骨」と「クリスマスに少女は還る」があまりに素晴らしいので、マロリーシリーズが劣っているように感じてしまうのだ。2016/02/26