内容説明
クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。誘拐か?刑事ルージュの悪夢が蘇る。十五年前に双子の妹が殺されたときと同じだ。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れた―「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、監禁された少女たちは力を合わせ脱出のチャンスをうかがっていた…。巧緻を極めたプロット。衝撃と感動の結末。新鋭が放つ超絶の問題作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
484
オコンネルは初読。この長さは彼女の粘着気質の故か?メインプロットはしっかりしているし、最初から最後まで揺るぐことはない。ただ、それが単線的に進んで行くのではなく、複線どころか複々線にさらに枝線がいっぱい用意されているのである。しかも、それは現在だけではなく過去の時空をも背負っているといった念の入りよう。結末はやや釈然としない思いであったが、実はその先にさらに真実が隠されていた。そして、そこにこそこの作家の凄さ、真骨頂がうかがえるのである。長い物語に付き合った甲斐があったというもの。2020/12/08
おしゃべりメガネ
231
う〜ん、とにかく‘重厚’でした。ページ数も六百超と大作なのは一目瞭然でしたが、ひたすら重い内容でした。にもかかわらず、2日で読了できたのは、やはり作者の綿密なプロットが秀でているからでしょう。物語の流れに大きな波はあまりなく、派手な展開にもなかなかならないのですが、自分にしては珍しく海外モノにもかかわらず、人物名がすっと記憶され、キャラが多数でも混乱しなかったところにも作者さんの‘匠’が隠されているのでしょうね。あまりクリスマス感は伝わりませんが、じっくり読んで重厚な手応えは確実に得ることが出来ました。2014/12/18
遥かなる想い
184
2000年度ベストミステリ第6位のこの本は、確かに設定がうまく、今日的な話題をとりこみながら巧妙に 話を 進めている。15年前の少女殺人事件と 現代におきた少女失踪事件をからませながら、読者を惹きつけていく。ただし、ロバート・ゴダードの万華鏡のような世界の味を覚えた人には若干物足りないが…失踪事件というと、現代の世相から陰鬱なものを連想するが、さほど感じないないのは筆者の力量かもしれない。それにしても、『クリスマスに少女は還る』という題名は記憶に残る。2010/12/26
buchipanda3
121
クリスマスを前に二人の少女が失踪した事件を追ったミステリ長編。結構な分厚さの作品だったが最後まで読み終えた時にはその長さなんて吹っ飛んでいた。一気に込み上げてくるある感情。正直油断してた。物語は現在と過去の事件の関係性や犯人の目的は何か、さらに少女たちはどうなる、と気になる展開。そんな中、みんなで野球を始める場面やサディーの母親が彼女を表した言葉が何気に印象深かった。少女らをそれぞれの思いで探す人たち、待ち続ける人たち。二人でと望む少女たち。これはまさに願いが込められたドラマだったと思う。題名が胸に響く。2019/12/18
bookkeeper
121
★★★★☆ 再読。クリスマスの数日前に誘拐された2人の少女。ホラーと悪戯が大好きなサディーと、お金持ちで美少女のグウェン。仲良しの2人は手を取り合い、励まし合いながら脱出を試みる。 600Pを超える分厚さ。登場人物の多さと濃さ。おまけにあらゆる仕草や心情も丹念に追う描写。読みにくい…。ちっとも進まない。でも健気な2人が無事であります様にと応援したくなり、ラストで切ない感動に飲み込まれます。そこまで、なんとか頑張って読み進めよう。 「わたしが保証します。みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」2019/12/17