創元推理文庫
待ちうける影

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  • サイズ 文庫判/ページ数 414p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488152055
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

精神病院に収容され、9年後の今退院を認められた婦女暴行殺人犯エリオット。彼に妻を殺され、再婚してようやく安らぎを取り戻しはじめた高校教師マードックを新たな不安が襲う。エリオットは彼への復讐を企てているのか?動こうとしない警察。ふたりを記事に仕立て、名声を狙う新聞記者コールズ。孤立無援の中、家族を護るため苦闘する男の、恐怖の45日間を描くサスペンス。

著者等紹介

法村里絵[ノリムラリエ]
1957年、東京都に生まれる。女子美術短期大学卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

*maru*

40
9年前に起きた連続婦女暴行殺人事件。精神障害を理由に無罪判決が下り、精神病院に収容された殺人犯。“完治”したと判断されれば凶悪な犯罪者がたった9年で社会復帰してしまう。何を、誰を基準として“完治”なのか。何をもって“正気”なのか。性器を撃ち抜かれ生殖機能を失ったのだからもう罰は受けた?社会復帰のチャンスを奪う権利がないのもわかる。でも…この社会は第2第3の、未来の惨劇は防げるかもしれないが、1番目の悲劇を防ぐようには作られていないのも現実なのだ。絶望しながらも、最後まで戦い抜いたマードックは強い。2019/01/29

yucchi

32
妻を含む3人の女性を殺した男(エリオット)が精神異常者と診断され、精神病院に収容されて9年。正常になったと診断され退院を許可されたという話を聞いたマードックは、再婚した妻と子供達を守るために苦闘する。40年近く前に書かれた物とは思えない。最近でも似たような事が起きている。警察は事件が起きてからでないと動かず、法律は1度目の悲劇を防ぐようには出来ていない。被害者よりも加害者に優しい法律だと思うのは私だけなのかなぁ。2017/03/11

geshi

27
かつての連続婦女暴行殺人犯は正常になったのか?それとも正気を装い復讐を企てているのか?どちらとも判断できない怖さのサスペンス。マードックからすれば恐怖でしかないが、警察としては正しい手続きを取らないと動けない、その噛み合わなさがフラストレーション。犯罪者の社会復帰と周囲の目、被害者の精神的回復、法律は最初の悲劇を防げない問題、「ありえそう」な話として現代にも通じる。視点をマードックのみに絞っておいて最後にオーヴィルの一人称が出てきた方が、より効果的だったと思うのだが。2019/06/07

星落秋風五丈原

26
精神鑑定を経て心神耗弱・心神喪失で無罪になるケースは日本でもよく見られる。ならば皆が心神耗弱を願い出て無罪を狙いそうなものだが実際認められたとしても再犯率の確率は少ないそうだ。しかしこのケースを悪用する者もいる。つまりは人間の心身に関わる問題なのでどんなに経験値が高い医師であっても、正確な判断を下すのは難しい。本編は最初からエリオットの意図がわかっているので読者は自然に孤立無援のマードックに感情移入するが仮にエリオットに全くその意思がなくてもコールズにプライベートを暴かれていたら精神的損害は計り知れない。2020/07/23

くさてる

25
婦女暴行殺人犯のエリオットが、9年間収容されていた精神病院から退院した。かれに妻を殺害された高校教師、マードックは不安に襲われるが、打つ手はなにもなく……というサスペンス。「MADMAN AT MY DOOR」という原題がほんとうにそのままの内容で、ひねりがないといってもいいほどストレートな展開に、ハラハラ度合いが半端ない。マードックが感じるストレスが読んでいて辛いほどでしたが、だからこそ、後半のあの生徒たちの行動がささやかな救いでした。2020/08/15

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