内容説明
「白雪姫」「親指姫」「シンデレラ」「眠りの森の美女」「赤ずきん」「白薔薇と紅薔薇」「青ひげ」「美女と野獣」「雪の女王」など９篇のおとぎ話が、フランチェスカ・リア・ブロックの手にかかるとリアルでモダンな物語に変身。毒入りリンゴを食べて倒れた白雪姫＝「スノウ」が目覚めたときに見つけた本物の愛とは？ＬＡの街から砂漠へ逃れた「赤ずきん」は、執拗に追ってきた男に思いきって銃を向ける。「青ひげ」の物語を書き変えよう―結末を変えられるのは、馬にまたがり剣を抜いた兄ではなく、ちょっとワイルドで逃げ足の速い少女！『ウィーツィ・バット』で一躍話題のＬＡ作家が大胆な再話に挑む。
著者等紹介
ブロック，フランチェスカ・リア［ブロック，フランチェスカリア］［Ｂｌｏｃｋ，Ｆｒａｎｃｅｓｃａ Ｌｉａ］
ロサンゼルス在住の作家。ヤングアダルト小説の旗手として知られるが、若い女性を中心に、大人のあいだでも人気が高い。〈Ｂｕｚｚ〉誌で“ＬＡでもっともクールな人びと”のひとりに選ばれ、“ヴィレッジ・ヴォイス”ではＬＡの詩人と評されている
金原瑞人［カネハラミズヒト］
１９５４年岡山市生まれ。法政大学文学部英文科博士課程修了。法政大学教授、翻訳家
小川美紀［オガワミキ］
カンザス州セント・メアリー・カレッジ卒業
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Roy
33
★★★★☆ 有名童話９篇を下敷きにした９つの物語。少女は多くの少女たちに埋もれる事を恐れている。多くの少女たちではない、私という少女、あなたという少女になりたいのだ。「自分たちにも物語がある」と言った少女がいた。その言葉に、心と体が伴わない少女の抱く違和感を感じる。人生の物語はハッピーエンドがいい。眠り姫の「チャーム」、白薔薇と紅薔薇の「薔薇」、美女と野獣の「野獣」が好き。白薔薇と紅薔薇は元の物語を知らないので、読んでみたいと思った。2009/08/20
兎乃
31
なつのｻﾝ、私も再読しました。誰でも知ってる物語の再話。フランチェスカの綺羅々とした言葉の織物、皮膚を擦る小さな棘、透明の水に紛れ込んだ一滴の毒。ねえ、なつのｻﾝ、私達はこの痛みに捉えられた永遠の患者なのかもしれませんね。フランチェスカのフェアリーテイル。夜に動く密やかな植物の香、風にのって。小さな旅の行き帰り、お守りのように読みました。きっと、また 読む。2013/06/13
KI
17
知らないことがたくさんあると気づいて、そんなこと知らなければよかったと思った。2019/05/22
星落秋風五丈原
17
自分探し、居場所探し、家族探し、そしてフリーク。「白雪姫」『雪-スノウ』スノウが母親に捨てられる所から始まる。そして庭師に拾われ7人の小人の所へ。ここでの小人達はかわいい働き者というよりは、見せ物小屋でも見かけるフリーク。しかしそれぞれに職人としての技を持っているという設定。やがてスノウを拾って小人達に届けた庭師は母親と関係を持つようになるが、毒リンゴを食べたスノウの元に駆けつける。目覚めたスノウが選んだのは。2006/08/30
草食系
15
美女と野獣、白雪姫、シンデレラなどよく知っている童話の現代版。王子様とお姫様はいつまでも仲良く暮らしました…とはいかない、現実的な展開の驚きと痛み、納得させられる寂しさ。特に美しい人の心を手に入れた後の落差。繊細な心は鈍麻し、振る舞いは粗野になり、本物の愚鈍な野獣になってしまった。やるせない…。差し出せるものを全て差し出し、何ひとつ残っていない、そんなふうに彼を追いかける彼女の物語、｢氷｣は特に好きな話。2013/08/31
