創元クライム・クラブ<br> 切れない糸

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創元クライム・クラブ
切れない糸

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  • サイズ B6判/ページ数 374p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488012052
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

俺、新井和也。家は商店街によくある町のクリーニング屋さ。新井と洗いをかけた「アライクリーニング店」が屋号。年じゅうアイロンの蒸気に包まれて育った俺は、超寒がりときている。大学卒業をひかえたある日、親父が急死した。就職も決まっていない俺は、しかたなく家業を継ぐことに。おおざっぱな性格の母親、アイロン職人のシゲさん、そして長年パートとして店を盛り立ててくれている松竹梅トリオの松岡さん、竹田さん、梅本さんに助けられ、新たな生活がスタートしたんだ。目下のところクリーニング品の集荷が、俺の主な仕事。毎日、お得意さんの家を訪ねては、衣類を預かってくるというわけ。ところが、あるお得意さんから預かった衣類は…。『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』で絶賛をあびた坂木司待望の新シリーズ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちはや@灯れ松明の火

175
あなたの心に染みついた悩みも洗い落とします。何より身近にある存在だからこそ、服は口ほどに物を言う。厄介事吸引体質のクリーニング屋跡取り息子の元へ洗濯物と共に届く謎、絡まる糸を解きほぐしていくのは喫茶店の名探偵。家族だからこそ言えない言葉、見失いそうになる自分の足元、躓きから始まった新しい出会い、不安も希望も信頼も全ては衣類の中に。それぞれの生きる道が縦糸なら、人と人とをつなぐ出会いは横糸。重なって、交わって、織り成されて、賑やかな模様を浮かべた布になる。時間と距離に洗われても褪せない気持ち、切れない絆。 2012/05/29

nyanco

167
『和菓子のアン』からこちらへ。父の葬儀の最中、主人公・和也が淡々と語るシーンから始まる冒頭部分がとても良い。アイロン職人のシゲさんが、実にいい味を出している。シゲさんの過去が語られ、そして息子の『拾い癖』は父からの遺伝と解るシーンも嬉しい。夜回りの差し入れ・フォアグラツアーは、商店街の良さが伝わる楽しいエピソード。やはり商店街は、廃れることなく、にぎやかでいつまでも残っていて欲しい。『ロッキー』の沢田くんのキャラも良く、坂木さんの作品は暖かくてとても好きです。続→2010/06/08

パフちゃん@かのん変更

164
坂木司さんは「和菓子のアン」に続き2冊目。少し橋本紡さんにも似た雰囲気ですが、日常ミステリーなんですね。父の急死で家業のクリーニング店を継ぐことになった青年が主人公というか語り手なんですが、「きれない糸」という題名は沢田君のことを指しているし、ミステリーの謎解きも沢田君が主人公。どちらも好感のもてる人物です。読後感も爽やかでよい。2012/10/31

おしゃべりメガネ

151
ひきこもり探偵「鳥井」&「坂木」シリーズに対をなす、クリーニング屋後継ぎ「新井」&喫茶店バイト「沢田」の二人が活躍するほのぼのミステリーです。ホント、坂木さんは登場人物のキャラを個性的に設定するのが上手です。今作も主人公の2人以外にアイロンがけの名手「シゲ」さん、クリーニング屋のパート「松・竹・梅」、そして「母」とココロ温まる人々とのふれあいをステキに書いてくれています。特に第2話と第3話が少し切なくもあり、ココロにジーンとくる話でした。主人公2人の距離感も抜群で、坂木さんワールドを十分に堪能できました。2014/06/22

kazu@十五夜読書会

147
初 坂木司,父親の急死により「アライクリーニング」店を継ぐことになった主人公カズを描いた連作短編。大学の同級生だった沢田との会話で日常の些細な出来事の謎を解き明かすミステリー・・・ほんわりとした人と人とのふれあいと繋がりを感じさせる作品。大きな出来事がないのだが沢田との会話との会話を読み進めるうち引き込まれていった。店をいやいやながら手伝ううちに、仕事に対するプロ意識に目覚め成長するカズが頼もしい。読後感が心地よく人にもお勧めできる良い作品。 2013/03/21

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