出版社内容情報
今は亡き最後の帝国ビザンティンの跡を訪ねる。聖山アトスから喧燥のイスタンブール,哀愁のマケドニア,光のラヴェンナ。地中海の旅に中世の神の国への憧憬が浮かび上がる。
内容説明
この旅は、夢か現か。聖山アトスでの修道院生活から喧噪のイスタンブール、中世の街ギリシアのテサロニキ、哀愁のマケドニア、湖畔の避暑地オホリドの美しい聖堂、陽光まぶしいイタリア、サンタクロースの故郷の地中海に浮かぶ島、薔薇の花びら舞う聖金曜日のお祭りと復活祭の不思議なごちそう…。
目次
第1章 「神の国」から旅は始まる
第2章 アジアの西、ヨーロッパの東
第3章 もっと街を歩きたい
第4章 山の向こうに修道院が見える
第5章 サンタクロースの島
第6章 黄金と頽廃
第7章 旅の終わりは始まり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおにし
19
ギリシア旅行でビザンティン美術に興味がわいて読んでみた本。著者の軽妙な語りと美しいイコンの写真で読み終えたとき、「そうだ、ビザンティンでいこう!」と叫びたくなるほど面白かった。ギリシャ正教のイコンは宗教画ではなく、神と人をつなぐ記号のようなものらしい。記号だから実写的ではなく平面的でヘタウマな印象を受ける絵であるが、どこか異教徒の私にも親しみを感じる。いつか、ビザンティン帝国の首都であったコンスタンチノーブル(イスタンブールとはあえて言わない)へ行ってみたい。2019/12/31
いくら丼
5
聖山アトスへの10日間の旅から始まり、最後には修道院を去って終わり――ですが、その間がビザンティン美術の美味しいとこつまみ食いの旅なので(笑)、固有名詞もばんばん出るし、情報の洪水に苦戦しました(笑)とはいえ読了後には情報が繋がって興味深い。あちこち回ると頭が大変ですが、多分これは実際に行かなきゃダメなんですね。「ビザンティン」には否定的な語義があれど、それだけではない。とは言えど、文学や美術で世俗的モチーフが少ない文化には、そのイメージを持たれるだけの土壌もあったんだろうなあ。羊の頭、食べてみたいです。2022/10/15