内容説明
プレデター生物を手玉に取ったエイリアン昆虫。天敵を獲物に選んだ寄生バチが見せるハイリスクハイリターンな行動戦略の数々。
目次
第1章 寄生蜂、他の生物に宿って命を奪うハチ
第2章 非昆虫少年とクモに寄生するハチ
第3章 クモと糸と網、その進化
第4章 クモとハチの知恵比べ―クモを手玉に取った多彩な産卵行動
第5章 母の強さを知る―アイディアが可能にした子殺し実験
第6章 胚のうちから闘いは始まっている
第7章 薬漬けでクモを労働ゾンビに
第8章 進学か就職か―インドネシアが呼んでいる
終章 クモとハチの虜
著者等紹介
高須賀圭三[タカスカケイゾウ]
1983年生。2011年愛媛大学大学院連合農学研究科博士課程修了。博士(農学)。日本学術振興会特別研究員を経て、神戸大学大学院農学研究科研究員。2010年日本昆虫学会学会賞受賞。2012年井上科学振興財団井上研究奨励賞受賞。2014年日本蜘蛛学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
T.Y.
10
クモに寄生するクモヒメバチの研究。その生活史、網を張っているクモを襲撃するやり方、クモがすでに寄生されていた場合の排除(子殺し)、通常通りに活動しているクモの(体内ではなく)体表に幼虫が張り付くメカニズム、クモを操って蛹化のための網を作らせること、そしてインドネシアでの分布研究…このシリーズの例に漏れず著者の研究歴や研究の苦労、論文投稿の過程等もあって面白い。途中の寄主たるクモの分類と紡績腺の説明も手頃なまとめ。後はやはり、クモを操るメカニズムの解明が期待されるところ。2015/11/26
橘
6
文句なしに面白い!素人の視点がいつしかプロの心意気になっている。ゼミの先輩の打明け話を聞いているようで、学生にこそ読んでほしい。また、効率優先の大人たちにも、寄り道や学部を越えた交流の重要性を訴えたい。2015/12/20
ほにょこ
2
★★★ クモやハチの生態は興味深くて面白い。 段々と著者の自伝みたいになっていくが、それはそれで面白かった。 2015/12/18
isbm
1
★★★2019/12/14
in medio tutissimus ibis.
1
クモヒメバチがいかに巧妙にクモに寄生して操作するのか――という話ではなく、寄生蜂を研究するために著者が蜂と宿主の蜘蛛の飼育と観察と論文作成とキャリア選びとついでに語学に七転八倒する話。ひどいタイトル詐欺ではあるのだが、予想しない形にせよ面白いのも確か。『バッタを探しに~』もそうだったが、このシリーズは生物学の本と見せかけて学者の苦労話がキモなのだろうか。2018/01/19