内容説明
イタリアとは何か?イタリア人とは誰か?19世紀のリソルジメント(復興運動)により「創られた祖国・国民」を抉り出し、今なお追究されているアイデンティティを探り、イタリアの現在を問う。
目次
1 創られた「イタリア」、創られた「イタリア人」
2 国王の神話化
3 国民の前に押し出される国王
4 君主制を演出する王室の儀礼
5 時間の国民化としての国家祭日
6 国王、愛国者、戦没者の顕彰
7 世俗宗教の「祭壇」
8 世俗宗教の聖地巡礼
9 君主制の藩屏としての貴族階層の創出
10 君主制の危機
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
unpyou
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イタリア近代史の第一人者による、リソルジメント後~ファシズム前期におけるイタリアの国民形成を巡る論考。明治維新とほぼ時代を同じくして近代国民国家として歩み出した統一イタリア王国におけるナショナリズム形成がいかに推移したかを、国王の行幸、ローマの記念堂建設等をめぐり描いていく。日本とイタリアはともに「遅れてきた近代国民国家形成」という困難なプロジェクトを進めてきた歴史を持っている。その成否・功罪に関し、近代天皇の行幸啓や靖国の成立といった我が国の事例と比較し考えるヒントが含まれた、個人的に興味深い本だった。2015/05/24