- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
belle
10
この本をきっかけにエリアーデの小説に魅せられてから、かなりの月日が経った。空間や時間を無意識に自在に移動する若き天才ダヤン。~想像力を総動員すれば理解できる~と作中で永遠のユダヤ人がつぶやく。もう一編の「ゆりの花蔭に」と合わせて理解して読んだとはとても言えないが、宇宙的幻想の世界を彷徨った。2018/12/29
misui
10
晩年の短篇二作。「ダヤン」に現れる幻想=イニシエーションは主体的に体験されるものであって、それがどんなに意義深くても傍から見れば謎めいていながら取るに足りないものとして映る。幻想は主体に現れるというこの点がエリアーデの肝で、社会はその周囲を無理解と困惑を以って飛び回り、やがて迫害に向かう。逆にいえば、取るに足りないものが幻想を、神秘を、詩を秘めていて、社会を撹乱する。2016/09/22
きりぱい
9
面白いのに、だんだん煙に巻かれてゆくような不可思議さ。謎の老人と出会い、眼帯をしていた悪い眼が入れ替わった数学の天才ダヤン。さまよえるユダヤ人なる老人に導かれ、世界が注目する難問の解が出されようとするのだが・・。宗教的な意味合いはまだしも、ゲーデルの定理だとか、アインシュタインの最終方程式だとかがよくわからなくて、幻想色も特殊に濃いこの物語、ちゃんと味わえたのかしら?な気がする読後感。「ゆりの花蔭に」の不可解さも同じく、面白いのに、終盤に近付くにつれ頭の中で収拾がつかない?2012/06/20
sibafu
5
ダヤンと呼ばれる天才的な数学の才能を持つ青年。眼帯を片目にしていたが、大学からの命令で反対の正常な方に眼帯を掛けなければならなくなる。奇妙なユダヤ人と遭遇して無事反対の目に眼帯は移るのだが、そこから街を彷徨うことに。目撃者によると、ダヤンは三日間行方不明で墓場から出てきたとのこと。「ゆりの花蔭に」という言葉が合言葉のように連鎖反応を起こして旧友たちが集うことになる。宗教学者のエリアーデによる幻想小説。原書はルーマニア語で書かれている。書かれていることが不可解でも、著者の名による説得力で納得してしまう。2014/07/04
堆朱椿
2
二作とも、テーマは常識的世界を突破した向こう側にある現象…だと思うのだけど、ちゃんと理解できたかどうか全く自信がない。面白くなかったか? いえいえ、面白うございました。確かに幻想小説。ただし、ロマンチックではない。なんだろうこの…読みたい素材なのに、味付けが期待したのと違うようなもどかしさ2014/12/01