マゾヒストMの遺言

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  • サイズ B6判/ページ数 307p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480814524
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

真なるもの、美なるものへ近づきたしと思えど、そはあまりに遠く怖ろし。せめて贋なる服を見栄えよく着こなし、素知らぬ体に生きる他に道なし――Mの諦念の書。書き下ろし多数。

内容説明

地を這い蹲りながら、欲望と権力と、そして歴史の深い傷痕とを凝視し続けた、最後の戦中派、諦念の遺言。書き下ろし多数収録。

目次

『家畜人ヤプー』について
神話としての八月十五日
哀しむべし男の性、慰安婦強制は当然あり得た
暴力と法律とどちらが強い?
世間の好奇心という名のサディズム
言っても詮なきことながら
他界への献身
正義と仁侠
9・11戦争
康夫と慎太郎〔ほか〕

著者等紹介

沼正三[ヌマショウゾウ]
1926(大正15)年、福岡市生まれ。本名、天野哲夫。旧制福岡商業を卒業後、満州特殊鋼鉄株式会社という鉱山会社に就職。敗戦を前に帰国、海軍に入隊。復員後は、闇屋をはじめ私立探偵など数々の職業を遍歴し、1967(昭和42)年に新潮社に入社。1992(平成4)年、定年退職するまで、同社校閲部に勤務しながら、小説・エッセイを書き続ける。1956(昭和31)年12月から二十回にわたって「奇譚クラブ」誌に未来幻想マゾ小説『家畜人ヤプー』を連載。戦後最大の作品として、三島由紀夫が愛読、出版を強くすすめたことをきっかけに、渋沢龍彦、奥野健男らをはじめとする多くの作家・文化人に絶賛された
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おたま

36
異端的な小説『家畜人ヤプー』の作者によるエッセイ集。収録された「『家畜人ヤプー』について」はもちろん、戦後の事象を書いた「Ⅱ」、性倒錯について書いた「Ⅲ」、そして三島由紀夫らについて書いた文学論集「Ⅳ」、すべてが『家畜人ヤプー』の解説または舞台裏といった趣になっている。その文章は極めて知性的であり、該博であり、鋭利。マゾヒズム一つとっても、様々な文学者からの引用もあり、探究の深さはついに形而上学にまで至る。正常者をむしろ「正常病」=サディストと捉え、マゾヒズム、マゾヒストをこそ肯定しようとしている。2022/09/18

Ted

7
同音異義語からマゾの世界へ強引にこじつけて薀蓄を傾けていく得意の文体は紛れもなく『家畜人ヤプー』のそれであり、著者・天野哲夫は長らく正体が謎だった「沼正三」に間違いないのだろう。散歩する著者晩年の写真が2枚だけ掲載されているのも貴重。書名から『ヤプー』を書く契機となった原体験や、マゾヒストを自覚するに至った生い立ち等が書かれているのかと期待したが、観念的な随筆ばかりでアテが外れた。『ヤプー』が「書くこと自体がカタルシスで文学的野心など完全になかった」という恬淡な態度で書かれたことを知り、強く印象に残った。2011/05/30

ブラックジンジャー

6
家畜人ヤプーは小説も漫画も読んだ事ありません。前にチラ見して、これは…無理!!だったので、これからも読まないと思う。けど沼さんの文体は小難しい感じはするけど好きです。ちょうど今は8月で、思いも寄らないところで戦争の話が読めました。「ほとけのMさん」の話が一番恐った。…心底恐ろしいです。マゾヒズムについても、なるほど〜と思う事もあれば、???だったり、興味深く読ませて頂きました。三島由紀夫が読みたくなりました。2013/08/22

ひろゆき

5
図書館で見つけ、借りた。あまりに有名なヤプーは未読で、中学生のとき石ノ森章太郎の漫画で読んだだけ。だから著者そのものを読むのは初。性癖はともかく普通の労働者として人生を送ってきたんだな、というのが多少の驚き。政治についての評論は、民主主義となんの不和もないもので、好ましく、勉強になった。マゾヒズムに関しての記述は辛く、多少飛ばし読み。敏感な方は読まぬがよい。マゾヒズムは性的官能とは直接は結び付かないとの言は、なるほどと思う。圧倒的な博識。この著者とあまりに対象的な(特に政治的に)三島由紀夫論は刺激的。2012/02/27

ねくろう

1
視野が、広がる。 沼先生ならNだし、Mというのは誰のことかと思ったが、あの方か。2014/10/18

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