おにいちゃん―回想の渋沢龍彦

おにいちゃん―回想の渋沢龍彦

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  • サイズ B6判/ページ数 187p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480813855
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

「人並みの幸せを追い求めるのはやめようね」それが渋沢龍彦の口ぐせだった―「おにいちゃん」と呼んだかつての伴侶との十年の結婚生活を偲ぶ珠玉のエッセイ十七篇。

目次

おにいちゃん
一九五X年・夏
《彼等》のその頃
《神話》の日々
わたしひとりの〈たま〉―私小説的考察
少年と、少女と、幾冊かの本の話―『夢の宇宙誌』まで
《渋沢龍彦》の成立まで
『暦物語』のこと―装幀家・渋沢龍彦
素朴と情念―Iの場合
わたしにとってのモロー〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

90
むかしむかし、ひとりの少女とひとりの少年が岩波書店の校正室で出会い、なかよくなって一緒に暮しはじめた。華奢できれいな白皙の美少年を、矢川澄子は1階に住む家族にならって「おにいちゃん」と呼んでいる。二人のあいだに子どもはなく、やがて幾冊かの本が生まれた。澁澤龍彦の誕生である。澁澤と10年間を共に過ごし、いくつかの出来事が回想されている。刊行は1995年。あとがきに「長きにわたる離婚後遺症」からようやくぬけだすことができればとある。7年後、自死した矢川である。2021/01/22

ぐうぐう

35
澁澤龍彦と別れて27年、澁澤が没して8年経ってから刊行された、矢川澄子が回想する澁澤龍彦『おにいちゃん』。それが長かったと見るか短かったと見るかは人それぞれだろう。しかし本書が、澁澤との日々を綴った書き下ろしではなく、澁澤の没後にぽつぽつと発表してきたエッセイを掻き集めた内容となっている事実を知ると、矢川にとって27年、および8年という時間は決して短くはなかったのだと理解できる。まだ真正面から回想の澁澤龍彦を綴るには早すぎるのだ、きっと。実際、この短いエッセイ群を読んで、そのことを実感する。(つづく)2020/01/30

かふ

19
澁澤龍彦の暴露本なのだが、矢川澄子は『不思議な国のアリス』の翻訳者だった。まさにルイス・キャロルがアリスのモデルにしたことを知らなかったのだろうか?それでも翻訳することが出来たとしたなら作品と作者は別だと考えていたのではないか?矢川澄子は「永遠の少女」と言われていたようだが、澁澤龍彦の暴露よりも「永遠の少女」ではいられなくなったリアルなエッセイだと思う。暴露本としての興味で読んでいたのだが、いろいろ考えるところがある本だった。いまだったら大騒ぎになるのだろうか?2024/02/06

あ げ こ

18
矢川澄子は何を残したかったのだろうか、と思う。断片。何か、明確な一つの形に組み立てる事の出来ない断片。無理矢理組み合わせてみた所で、何物にもなる事のない。白く、あやふやで、曖昧で、酷く不安定で。何物にもなり得ぬ、不完全の。けれど未だ、仄かに温かい。断片。とても回りくどい。他にもっと、あったのではないか、と思う。遣り様も。言葉にすべき事も。どうやってもこうなってしまう、と言うような、もどかしい回りくどさ。堪えていたのだろうか、と思う。溢れ出そうになる何かを。あの逡巡。懸命に堰き止めていたのだろうか、と思う。2017/11/22

tonpie

11
大昔「詩を書く少年」だった頃、著者のアリス詩集を耽読しましたが、澁澤龍彦とご夫婦だった(ことがある)とは、知らなんだ。文中、三島、澁澤、稲垣の「男性の秘密」についての文章はとても面白かった。稲垣足穂は、今一番再読したい作家です。どうも、ズバリ核心部分を批評できなくてすみません。元夫婦の、二人の作家の鮮血が飛び散っているようなこの本について、私には「感想」は書けませんでした。絶対売らないで持っていますが。2020/04/11

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