内容説明
本書は、現時点までに発見された尾崎翠の全作品、翻訳、座談会での発言、断想、書簡のほか、未発表生原稿、草稿、書簡等を収録し、定本として構成したものである。
目次
さゝやき
初期短歌
海の小曲
山脈
因幡の海
木蓮
富春園にて
里謡二篇（岩井の里；盆踊り）
詩二篇 神々に捧ぐる詩（チヤアリイ・チヤツプリン；ヰリアム・シヤアプ）
青いくし
漁村の新生活より
あさ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
take0
4
尾崎翠さんの作品を読むのに、旧かな遣いの方が合っている、と思う。彼女の作品が纏う感傷的でノスタルジックな雰囲気が、より印象深いものになるように感じられる。上巻収録作では、一九二七年辺り以降の作品は、いよいよ作家としての才気が溢れているように思えて、味わいのある作品が多い。2018/10/15
ワンタン
4
尾崎翠を好きな人は密かに同志だと思っている。久しぶりに読み返したが、やっぱりすごくしっくりくる。自分にとって尾崎翠の魅力は、何よりその乾いた文体だ。（その点、よく引き合いに出される森茉利は、自分には惹かれるものがない。）とにかく、読んでるだけで快い。若い頃は親しくなった人によく貸したりプレゼントしたりしたものだが、男の場合、良質だけど閉じている文学、という感想ばかりで、手放しで気に入ってくれる人はいなかったと記憶している。確かに頷ける意見ではあるが、それ以上の面白さがあると思うんだけどな〜。2016/09/19
