出版社内容情報
多すぎても少なすぎても困る重金属。健康を維持し文明を発展させる一方で、公害の源となり人を苦しめる。重金属とは何か?から、科学技術と人の関わりを考える。
内容説明
文明を躍進させたり、生物の身体の調子を整えたりする一方で、毒や公害の要因となって、人を苦しめる重金属。多くても少なすぎても困る存在だ。重金属とは何か?から、科学技術と人との関わりを考える。
目次
1章 重金属とはなんだろうか(重金属の定義;金属の特徴とは ほか)
2章 重金属といのちの物語(重金属の誕生;太陽系の誕生・地球の誕生 ほか)
3章 重金属と人類の物語(重金属で身の回りを彩った古代人;古代人の道具になった銅と鉄 ほか)
4章 重金属による公害を知ろう(健康被害の発生;公害とはなんだ? ほか)
5章 重金属のいまと未来(産業を支える重金属・レアメタル;ハイテク技術を切り拓く重金属 ほか)
著者等紹介
渡邉泉[ワタナベイズミ]
1971年、大分県に生まれる。1998年愛媛大学大学院連合農学研究科博士課程修了。東京農工大助手等を経て、東京農工大学大学院農学研究院環境毒性学研究所(環境汚染解析分野)准教授。専攻は環境化学・環境毒性学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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calaf
15
自分のはもちろん、特に他人(他の生物)の命の大切さを、人間の(目先の)経済的な問題と比較してどう捉えるかというのが一番の問題でしょうか。人類の傾向としては、なかなか難しいところのようですが。2013/12/30
belier
1
再読。やはり良書。重金属による主要な公害について概要がコンパクトにまとまっている。この本を読むまで知らなかった土呂久公害はやはり衝撃的だ。本論のインパクトの強さによく覚えていなかったが、1、2章の重金属を知るための科学的な基礎知識の説明、最終章の未来への展望も、視野が広くて知的好奇心を心地よく刺激してくれた。著者は幅広いポピュラーサイエンス本を書いてもいいくらい文章力があると思う。だが、この本の後は著書が出ていないようなので残念。あと、最後に紹介され、たまたま他の本でも見た「予防原則」に注目してみたい。2023/01/23
masaeSAN1979
1
題名から化学的な内容が多いかと思っていたけど、公害と鉱毒被害に関する内容がメインといった感じでした。 私個人の認識というか印象としては、公害や鉱毒による被害というのは経済成長時代のものであって、現在進行中の大きな問題は無いと(漠然とですが)思っていましたので、東京都の六価クロムの件は少し衝撃を受けました。また、社会全体として大きな問題となっていなくとも、被害者にとってはとても大きな、それこそ人生を狂わせてしまうほどの問題であると言うことも再認識させられました。2014/08/22
柏原 輝彦
0
人類にとっても生命にとっても重い存在である重金属。放射性物質による環境問題は人類と科学技術がどのように付き合うべきか究極の形で我々の前に突きつけた。重金属との付き合いにこそ人類が何度も犯してしまう過ちの原因究明のヒントがあり今後の化学物質管理を模索する上での可能性が隠されている。恒星の死に方にはいくつかのパターン。星の一生と関わって生成される元素は鉛まで。地球環境に勢ぞろいした重金属と地球に誕生する生命との驚くべき関係。2017/01/22
のびすけ
0
元素の周期表と生物の進化の歴史の関係が自分にとって真新しい発見だった2014/11/11