内容説明
なぜ、あなたは本を読むのか?「自分探し」を超えた刺激的な読書法。
目次
第1章 本を読む前にわかること(本は自分を映す鏡だ;未来形の自分を求めて ほか)
第2章 小説とはどういうものか(『電車男』は文学か;物語の四つの型 ほか)
第3章 読者はどういう仕事をするのか(小説は穴ぼこだらけ;作家は隠すことで読者から小説を守る ほか)
第4章 「正しさ」は変わることがある(評論を面白く読むコツ;論理は一つではない ほか)
著者等紹介
石原千秋[イシハラチアキ]
1955年生まれ。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程中退。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学。文学テクストを現代思想の枠組みを使って分析、時代状況ともリンクさせた斬新な読みを展開する。また、「国語」教育、とくに入試国語の読解を通した問題提起を積極的に行い、現場の内外を問わず支持を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momogaga
37
図書館本。これまで読んだ読書術の多くはハウツーものだった。この本は学術的なところも加味されていて読みごたえがあった。特に評論文の読み方は参考になった。2016/01/15
カッパ
19
〈理想の自己発見のための読書は未来形の読書と言えそうだ〉知っているとことを確認ではたく未来に向けて貪欲に関われる。小説は立ち位置は色々であることができるし評論は論理は1つではないのであれこれ考えられる。深いなあ、、、2017/01/17
太田青磁
19
もっとも本を集中して読むのは本屋さんで立ち読みをするとき・色彩に関する語彙が視覚という身体感覚を規定・自分自身を意識するときには、意識する主体は自分の外部にいる・『電車男』の出版社が大手で名のある新潮社・物語の型①内→外→内 浦島太郎型②外→内→外 かぐや姫型③外→内 成長型 ④内→外 退行型・文学は隙間を読者の好みによって埋める娯楽・古典が古典たり得るのは、多くの読者による読み直しの賜・自分のもっとも言いたいことを隠すために書く・①〜が〜になる物語②〜が〜をする物語・おばかさんを演じるのが評論を読むコツ2014/02/08
白義
16
まずテクスト論のいっちばん分かりやすい入門書だってことが一つ。で、テクスト論がそもそも本と読書の最も高度な探求の成果であるから、当然最も分かりやすく、読書という行為の根本を書いた本だってこと。そして、これがジュニア向けの新書で出ているんだけど、『読書を通して自己、他者、自己の中の他者を見出だす術』を、子どもからでもわかる文章で書いてある。本は多くの宝を隠している。隠すことによって宝を増やし、永遠の神秘を守っているし、読者が多くを見出だそうとするほど、本は応えてくれるってことだ2011/09/03
銀雪
15
かなり納得させられた読書論。第一章で、内田樹の主張とも近い高い内容が述べられていて一気に引き込まれた。小説の読み方論が中心だったけれど、評論について述べてある章もあってすごく知的刺激を受けた。第四章の「正しさ」についての箇所ではツッコミたかった部分もあったけどw 夏目漱石も読んでみたくなる。巻末のブックガイドや引用文献リストも参考にしたい。文学部の学生に特におすすめかも知れない。図書館で借りた本だけど絶対買う。2011/03/25