出版社内容情報
単なる“飾り”か、それとも“命綱”か。教養の力で人びとの合意形成を図る「地を這う哲学者」が斬り込む。すぐれた選択を導く知、思慮深さとはどういうもの?
内容説明
「教養とは何か」「教養を身につけるとはどういうことか」古今東西繰り返されてきた問いに、教養の力で人々の合意形成を図ってきた“地を這う哲学者”が真正面から取り組む。すぐれた選択を導く知、思慮深さとは何か、考えてみよう。
目次
第1章 教養とはなにか
第2章 「コスモス」との遭遇
第3章 よみがえる教養
第4章 ソフィアとフロネーシス
第5章 風景へのまなざし
第6章 実践のなかで
第7章 教養の磨き方
著者等紹介
桑子敏雄[クワコトシオ]
1951年群馬県生まれ。哲学者。一般社団法人コンセンサス・コーディネーターズ代表理事。東京大学文学部哲学科卒業、同大学院博士課程修了。東京工業大学大学院教授、同リベラルアーツセンター長を経て、東京女子大学教授。東京工業大学名誉教授。博士(文学)。1999年に上梓した『環境の哲学』が建設省の目に留まり、公共事業(ダム建設など)の合意形成にかかわるようになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コウメ
50
著者は学生時代にアリストテレスの「教養」について、「教養は幸運なときには飾りであるが、不運のなかにあっては命綱となる。」という言葉に影響され著者自信の座右の銘として、生活。そのアリストテレスの言葉について、「教養」とはどんなものなのかを深く追求した1冊。/教養を学ぶうえで、古典として、源氏物語など、また、宇宙論を絡めて説明。著者は「教養」は、根っこである。ここでいう教養とは学校で教えてもらう。教育ではなく、あくまで自ら学び身につけていくものが教養である。教養は、知識として、「知っている」という状態ではなく2019/09/16
hk
17
教養とは選択肢を選択したのだと認識するための力である。例えばこの書評に万が一「ナイス」しなかった場合、ナイスしなかったという暗愚な選択をしたと気付けることが教養なのだ。選択肢に気付ければ、失敗の原因を求めることが可能になる。例えば万が一この書評にナイスをしなかった人物が、今晩から「いぼ痔」で塗炭の苦しみに苛まれたとしよう。教養がない人物は、そもそもこの書評にナイスしなかったという暴挙に気付けない。だからいぼ痔の原因がhkの祟りだと喝破できない。他方、教養があればこの書評にナイスしなかったためにイボ痔になっ2019/08/30
大先生
13
Q.教養とは何か?A.アリストテレス=「教養は幸運なときには飾りであるが、不運のなかにあっては命綱となる」、桑子先生=「教養とは、すぐれた選択を導く総合的・統合的な知であり、思慮深さの基礎である」。飾りじゃ駄目よってことですね。桑子先生は、自然によって生を与えられておきながら自然破壊をする人間を不可解な存在と感じ、環境哲学を研究したようです。西洋哲学から東洋哲学は勿論、源氏物語も。何のための教養か?については、明言されていませんでしたが、人類にとってより良い選択をするための教養というところでしょうか。2020/06/21
鮭
10
教養の移り変わりと現代的な活かし方を概説した一冊。本書では教養は最善の選択肢を選ぶ為の能力であり、人としての幹とも表現している。教養は手段ではなく、その人の血肉なのだと。 教養の意義は理解できたが、肝心の身に付け方が気になるところ。2020/03/05
ケニオミ
9
本書を読んで教養について理解できたかどうかわかりませんが、自分がまだ教養不足であろうということは分かりました。挫折している「源氏物語」と、あらすじしか知らない「オイディプス王」を読みたくなったのが、本書を読んだ収穫でしょうか。2019/08/14