内容説明
若き下っ引き佐武、盲目で剣の達人の市。その二人が解決する江戸の難事件。斬新な筆致と胸を打つドラマ。マンガ史上に輝く最高傑作シリーズ。江戸の風物を背景に、人々のこころの闇と生きる哀しさを描いた作品群をセレクトした文庫オリジナル・アンソロジー。
著者等紹介
石ノ森章太郎[イシノモリショウタロウ]
本名:小野寺章太郎。1938年1月25日、宮城県登米郡(現・登米市)生まれ。1954年、高校在学中に『二級天使』でデビュー。高校卒業と同時に上京し、漫画家生活に入る。1998年死去。2006年、角川書店(現・KADOKAWA)から500巻770作品におよぶ個人全集『石ノ森章太郎萬画大全集』が発行開始され、一人の著者による最も多い漫画の出版の記録としてギネスに認定される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
99
この漫画は1970年代に週刊ビッグコミックに連載されていたもの。当時のことはうっすら覚えているがその頃は未成年だったのでイケナイ雑誌だと思っていた当時のウブな自分(笑)内容は佐武という岡っ引きと市というあんまが様々な事件に遭遇し解決してゆく。コマ割りがとても斬新で当時としては時代物ということも含めて話題にもなったのではないか。ずっと前から読みたかったので、3巻まとめ買いの1巻目。蛇の目、勝負、狂犬が気に入った。 2022/05/03
Vakira
42
いや~懐かし~ もう 作者が書かれてから50年近く立つのではないだろうか?そんな昔に書かれたことが信じられない。今読んでも全然色褪せていない。映画を見ている様なコマ割り演出。これを少年誌に掲載してもこの良さを判るには中学生以上ではないだろうか?解説読んだら やっぱり 青年誌へ移行したようだ。とにかく 今 佐武と市を発行してくれたちくま文庫に感謝。2019/08/08
阿部義彦
23
ちくま文庫さんがやってくれました。これは好企画ですねー。ある意味シリアスな石森さんの代表作で、私的には有名な「HOTEL」より上だと思っている作品のオリジナルアンソロジーが毎月読めるなんて!これは昔日曜アニメにもなって良く見ていましたがこうして原作を読むと、実験的画面構成、単なる推理小説もどきにならないで謎ときよりもその裏の「人間の業」が押し付けがましくなく余す所なく語られていて、憎いばかりの物語展開です。時代歴史小説苦手の私でもついつい読み耽る面白さ!こういうのを探せるセンスこそちくま文庫なのだ!絶賛。2019/06/24
青龍
19
ちくまさん、ありがとう! という感じです。石ノ森作品の中で、一番好きかも!というくらい、佐武と市が好きです。江戸の風景や風俗、日向子先生とはまた違うセンスで描き出す、人々の生活。それにしても、流れるようなコマと、そこに隠された伏線や心情が流石。2019/07/04
剛腕伝説
12
生首雛人形、菖蒲、蛇の目、狂い犬、菊人形、年の関、めでたさも中位なり江戸の春。 石ノ森は『佐武と市捕物帖』で、様々な表現技術への挑戦をした。それまでも【石森節】はついていたが、この作品で味が付いたと自負している。雨、風、土埃り、破れた板塀、枯れ木、一木一草の一本一本の線に思いをこめて描いたからだと言う。そういう意味でもこの作品に対する愛着がとても深いそうな。2022/10/10