出版社内容情報
父・平太郎は退職金と貯金の全財産を5人の娘と自分で6等分にした。すると各々の使い道からドタバタ劇巻き巻き起こって、さあ大変?!解説 印南敦史
内容説明
定年になった三沢平太郎は退職金と貯金を合わせて300万円を5人の娘と自分で平等に6等分することにした。その金を元手に喫茶店を開いた長女、お金に困っているという恋人に貸した次女、旅行の資金にする三女、株式に投資する四女、会社で高利貸しを始めた五女、小料理屋の女に入れあげる父、平太郎。それぞれの50万円の使い道から三沢家にドタバタ劇が巻き起こる?!
著者等紹介
源氏鶏太[ゲンジケイタ]
1912‐1985年。富山市生まれ。富山県立富山商業高等学校卒業後、1930年に住友合資会社に入社、会社勤めのかたわら懸賞小説に応募するなど執筆活動を行い1951年には「英語屋さん」他で直木賞受賞する。1956年、退職し小説家に専念、1958年からは直木賞選考員も務めた。1971年、吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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旗本多忙
22
男手ひとつで19歳から26歳までの5人の娘を育ててきた平太郎はめでたく定年を迎えた。平太郎は退職金と預金を均等に6人で分けると言って娘らに50万円づつ渡した。娘達はそのお金の使い道から、恋が芽生えたり、泣いたり笑ったり、そして悩んで怒ったりと、家族が嬉しい幸せを掴むまでのサクセスストーリーのようだ。平太郎も55歳、第2の人生が...安子さんがいい味出してるねえ。据え膳食わぬは男の...とはいうが、見え透いた甘言には、男も女も気をつけよう。今回読んで、あらためて源氏鶏太の小説の面白さが良くわかった。2022/11/13
ゆきらぱ
18
退職金が200万、月給が3万、コーヒーが50円という昭和の真ん中ごろの家庭が舞台。お母さんは亡くなって娘五人とお父さんの暮らし。楽しく、どこか懐かしい物語をすっかり堪能しました。この娘さん達、年月を経て振り返ってあの頃は幸せだったと思い返すようなそんな明るさに満ちた話でした。2017/12/03
Mayrin
12
とてもわかりやすく、明るい作品です。古き良き昭和の時代・・・というほど古く感じず、おそらくこの時代にしては最先端なのかな?と思いました。2020/04/07
安曇
7
昭和の世界観と清々しいくらいのハッピーエンドが楽しめました。2018/07/07
Inzaghico
7
父親は退職金と貯金の計300万円を6人で等分に分け、娘達に花嫁支度金の前渡しをする。退職金を娘と等分に分ける、というのがなかなか太っ腹な父親なのだが、この50万円をもらった娘達の遣い先が、それぞれの性格が出て興味深い。 当時の若い娘(と中年男)の恋愛事情を描いた物語とも読めるが、個人的には当時の金銭にたいする感覚がのぞけて面白かった。2017/11/18