内容説明
「日本SF初期傑作集」とでも副題をつけるべき作品集である。(筒井康隆)―優れた書き手たちがその個性を存分に発揮しつつ、SFと小説の可能性を探り続けていた1960年代の代表的傑作を集める。斬新なアイディア、強烈なイメージ、ナンセンスの味わいなどがたっぷり。「SF」の枠組みを超えて、二十世紀日本文学におけるひとつの里程標となる歴史的アンソロジー。
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934年生まれ。作家・俳優(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山田太郎
47
荒巻義雄がよくわかんなかった。筒井康隆の解説が面白い。昔がよかったっていうと年寄みたいだけど、やっぱりいいもんはいい。黎明期ってのがどのジャンルも一番楽しいと思った。2013/09/13
モトラッド
28
★★★☆ [再読]数十年前に読んで感激した、豊田有恒の『渡り廊下』が収録されてるのを発見し、即購入。当時はもっと怖い思いをして読んだ印象だが、再読してみると、とても味わい深い作品だった。今回は、そうそうたるSF作家が腕を振るった(14篇)日本の60年代の初期SFの、それぞれの味わいを堪能した。その中でも、やはり『渡り廊下』それと『幹線水路二○六一年』(時の支配者=光瀬龍が描く虚無的な世界観)が、絶品。編者が筒井康隆という事も、興味深く、読み応え充分である。2018/08/01
スプリント
18
バラエティに富んでいて読んでいて楽しかったです。 X電車で行こう、終わりなき負債が先が読めない展開で特に楽しかったです。2019/12/22
TSUBASA
14
日本SFの黎明期、60年代に発表されたSF短編を筒井御大が編んだ一冊。昔の作品だからどんなもんかと思うけれども、ちっとも色あせない。どうやら当時の日本SF作家は欧米SFがどうしても眼中にあって、それに追いつきたいともがく気持ちが強かったみたいですね。印象深かったのは高速道路が星を覆っている惑星における生態学の考察が興味深い石原藤夫『ハイウェイ惑星』、人間不信になった男がアンドロイドによって生きる希望を見いだす平井和正『レオノーラ』などなど。荒巻義雄『大いなる正午』はチンプンカンプンでした(汗)2014/08/10
鷹図
10
私のようなSF初心者には大変有益なアンソロ。筒井セレクションなのだから直球のラインナップではないだろうと思っていたが、初っ端なの星新一からして「何故にこれを…」なヒネクレ具合が楽しい。『H氏のSF』、『幹線水路二〇六一年』(舞台がウイグルなこともあってか、中野美代子先生の『タリム秘教考』を思い出す)、『渡り廊下』あたりが特に良かった。中でも『ハイウェイ惑星』は傑作中の傑作。理系のロジックによるスマートな悪ふざけと、宇宙の深遠が同居する。もしかすると、今まで読んだ短編小説のオールタイムベストかも知れない。2014/02/05