目次
海やまのあひだ 抄
春のことぶれ 抄
古代感愛集 抄
近代悲傷集 抄
現代襤褸集 抄
詩 拾遺
死者の書
実川延若讃
日本文章の発想法の起り
「古代研究」追い書き
妣が国へ。常世へ
春来る鬼
地方に居て試みた民俗研究の方法
著者等紹介
折口信夫[オリグチシノブ]
1887‐1953。大阪の生まれ。筆名釈迢空。幼いころより和歌にしたしむ。国学院で学び、はじめ中学の国語教師、やがて柳田國男を知り、民俗学、国文学の研究に入る。民間伝承採話のかたわら、短歌、詩、小説を書き、日本芸能史や古代研究にわたっては、実証にくわえて詩人的直観にもとづくおよそ類のない想像力と洞察にあふれた仕事をのこした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
46
民俗学で有名ですが、色々なジャンルの作品を書いているのだと思いました。『死者の書』の印象が強くありましたが、この本を読んで、他にも名作があることを知り、興味を持ちました。2022/03/26
壱萬弐仟縁
5
「水牢」の詩の一節で、「学問やめて 山へ還(かへ)ろと思つたりや。(略)学問よして 山めぐりせうや。山の馬めに味噌嘗(な)めさせて まはるべいか」(128ページ)。学者は学者。山師は山師。そんな専門に特化する人生がプロなのだが、別に、両刀づかいでもいいのではないか。評者は学びながら社会を変える努力はしてきたつもりだから。研究成果を社会に還元するのはいいことでは。象牙の塔は時代錯誤。「人間はなぜ、人間の悲しみの最も深きものに、すぐに同感し、すぐに共感する智慧を、持つことが出来ないのか」(291-2ページ)。2013/02/11
ぷほは
3
このちくまシリーズはジャンルごとの比較的まとまっていて読み易い作品が収録されていて、一冊ながらコンパクトに個々の作者たちの創作の広がりを掴むことができる。とはいえ極大スケールで展開する折口先生であるが、いま歌碑がある浪速区で働いていることもあり、学生時代よりは面白く読める。まれびと論はむしろ小松和彦経由だったので、「訪れ」が「音-連れ」であることにハッとさせられた。ミシェル・セールの「パラジット」だ! グッとくる歌も多し。「夜まつりは、/朝に残れり。/日のあたり強き 舞ひ処に、/鬼は まだいる」とか最高。2020/01/09
なおこっか
3
折口信夫の“常世神の漂着地”論を知ってから、出雲を旅してタブの木を目にすると、感慨は深いものとなる。解説で小松和彦先生も書いているように、“まれびと”の思想こそが際立ってみえる。旅と、死。『海やまのあひだ』でも、『死者の書』でも、常に旅と死が共にあった。来し方、行く末。折口信夫と向き合うべき時期がきたのだ、きっと。2019/10/20
ずしょのかみ
1
「まれびと」がやって来て土地の精霊を屈服させるという考え方は言われてみれば多くの祭りに見られることである。歴史や文化を学ぶものとして、折口信夫のように祭りや芸能、古典を通じて古代を感じることができたらいいなあと思います。2016/06/14