内容説明
故郷をこよなく愛するとともに、世界の多様な風景・風俗を愛したチャペックは多くの旅行記を遺している。その優しくユーモラスな筆致は、深い悲しみと叡智を底に秘め、世界中に今もなおファンが多い。本書は1929年スペイン周遊の際に書かれた旅行記。ラテン、イスラム、ユダヤ、ジプシー、バスク、そして闘牛やフラメンコ…様々な民族や風物の混交する面白さ美しさに魅せられた心躍るエッセイ。
目次
国際急行列車
ドイツ、ベルギー、フランスを通って
カスティーリャ地方
太陽の門
トレド
血の酒場
ベラスケス またはスペイン貴族
エル・グレコ または信仰
ゴヤ または裏返しの人
その他の画家〔ほか〕
著者等紹介
チャペック,カレル[チャペック,カレル][Capek,Karel]
1890~1938。ジャーナリスト、エッセイスト、小説家、劇作家。ヨーロッパの小国チェコに生まれ、ナチスに対抗し、全体主義と闘った。その文筆活動は非常に多彩で、新語“ロボット”を世に広めたSF劇「R.U.R」、エッセイ『園芸家十二ヵ月』『ダーシェンカ』、童話『長い長いお医者さんの話』が特に有名
飯島周[イイジマイタル]
1930年長野県生まれ。跡見学園女子大学名誉教授。言語学専攻。97年木村彰一賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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糜竺(びじく)
24
1929年当時のスペイン旅行記。スペインらしい熱は感じた。しかし、私個人は想像力がとぼしいからか、写真がないので情景がイメージしづらかった。2023/05/18
ロッキー
21
スペインに興味が湧いていたので読んでみたが面白かった。カレル・チャペック。『ロボット』という言葉の考案者であることは何となく知っていたが、著書を読んだ事なかったので自分としては思いがけない発見だった。80年程前の旅行記だけど特に気にならず(現在のスペインもリーガ・エスパニョーラぐらいしか知りませんが…)街並み・人々の生活が詩的に表現されていてとてもいい。旅行でこれ程感動的になり美しく表現できるのはとても羨ましい。『アルハンブラ物語』もそうでしたがオリエント風の建築物に魅かれますね~。2011/12/04
Sakie
11
1929年のスペイン紀行文。詩的で形容詞が多いのに疲れるが、旅の高揚感とも取れる。チャペック氏はスペイン人がスペイン的であることを望み、スペイン的なものに貪欲に触れようとする。スペインはあらゆるものが『ありとあらゆるもので』装飾されているという。とても美しいという。ああ、スペインへ行きたい気持ちがいや増し増し! 曰く、人生の豊かさが民族をつくり、歴史と自然は諸民族の中で融合している…。『相違のそれぞれは、愛する価値があるからで、それは人生を何倍もゆたかにする』。salud!2016/12/05
cuipa
9
叩きつけて歌うような、ぶつぶつ低音で囁くような、詩的な文体。フラメンコのような(女性の煽情的なダンスではなく、おっさんが塩辛声で歌う方)リズム。文章でスケッチされる異国の地のなんと美しいことだろう。そして私は画家ゴヤが大好きなんだけれども、彼についてのパートの連祷のような文章には鳥肌が立った。エッセイを3作連続して読んだけれどもこれが一番好きかな?2015/09/12
セレーナ
7
約80年前のスペイン旅行。ダーシェンカで読んだような軽快な文章ではあるが、あまり面白いと思えなかった。2021/01/25