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ちくま文庫
くもの巣の小道―パルチザンあるいは落伍者たちをめぐる寓話

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  • サイズ 文庫判/ページ数 279p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422927
  • NDC分類 973
  • Cコード C0197

内容説明

少年ピンが加わったパルチザン部隊は、“愛すべきおちこぼれ”たちのふきだまりだった。普段、酒や女で頭がいっぱいの彼らが「死」をもってあがなおうとしているのは何なのだろう。なんとも嫌らしくて、不可解な大人たちである。パルチザンの行動と生活を少年の目を通して寓話的に描く。奇想天外な現代小説の鬼才・カルヴィーノの文学的原点の傑作。

著者等紹介

カルヴィーノ,イタロ[カルヴィーノ,イタロ][Calvino,Italo]
1923‐85。イタリアの作家。キューバで生まれる。両親とともにイタリアに戻り、トリノ大学農学部に入学。43年、反ファシズムのパルチザンに身を投じる。それが彼の文学的出発点となり、47年に発表した『くもの巣の小道』は、ネオ・レアリズム小説の傑作と絶賛される

米川良夫[ヨネカワリョウフ]
1931年、東京で生まれる。早稲田大学卒業。2006年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

月世界旅行したい

12
カルヴィーノは最初からすごかった。2015/01/15

kaze

10
★★★第二次世界大戦の同じ敗戦国側なのに、日本には日本の戦争があり、イタリアはイタリアの戦争を戦っていたのだな。パルチザンたちの敵が何なのか少年ピンの目を通して描かれるので初めのうちはさっぱりわからない。ドイツ?ファシスト?GAP?黒シャツ旅団? 人間を戦争に駆り立てるものは信念や思想などではなく怒りだ。自分の生活を世界を安定を奪ったものへの怒り、不当な現状に対する怒りだ。 キムの言った通りあれから50年以上経つのに人間は相変わらず同じ無名者の憎しみを目に湛えながら戦いあっている。百年後も?千年後も? 2013/11/28

ヴィオラ

5
奇想・幻想風味はほとんど無くて、あまり好みじゃ無いけど、カルヴィーノの原点がこういう作品なのは興味深い。戦争中の話ながら具体的な戦闘が描写されないのは、本当に大切なのは、歴史の本に載らないような個々人の思いだという作者のスタンスからか?大人の真似をして背伸びをする子供の図は、普通微笑ましいものだけど、戦争中のそれは痛ましいね(;Д;)2012/03/30

skellig@topsy-turvy

5
何だか物悲しい気分になる。精一杯背伸びして摩訶不思議な大人たちとうまくやっていこうとするピンの孤独が、いつの間にか読み手の心にも冴え冴えと染み込んでいく。戦争文学とはいえ、一種童話のような風景で展開されるのは、「こども」の視線で世界が構築されているからなのかな。どっちつかずなピンの存在と、世界と大人のどうしようもなさについての彼の認識の鋭さは印象的。2012/01/29

Michael S.

4
ならず者の吹き溜まりのようなパルチザン部隊の大人たちを,貧民街に住む孤独な少年ピンの視線を通して寓話的に語ることで,当時流行した「祖国解放の英雄」的な紋切り型・公式主義的な「レジスタンス文学」に陥らず作品の文学的なクオリティを高めている.ただ9章だけは「政治委員キムの独白」という形で作者の内戦に対する体験的な評価を述べている.(解説より)物語の最後,「くもの巣の小道」の場面は映画的な美しい秀逸なラストで良かった. 2020/03/07

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