ちくま文庫
森鴎外集 鼠坂―文豪怪談傑作選

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  • サイズ 文庫判/ページ数 398p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422422
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

日本近代文学興隆期の巨人・森鴎外は、同時代のヨーロッパで書かれた怪異奇想小説の逸品を、誰よりも早く、達意の訳文でわが国の読者に紹介するとともに、みずからも好んで怪談奇談の筆を執った。死霊の復讐、旧家に蟠る怨念、分身譚、神仏の祟りなど多彩な創作怪談と翻訳怪奇小説を集大成した本書は、文豪鴎外による「独り百物語」もしくは鴎外版「世界怪談名作集」ともいうべき試みである。

著者等紹介

森鴎外[モリオウガイ]
1862~1922。津和野の藩医の長男として生れる。本名、林太郎。藩校で漢籍・蘭学を学んだ後、東京医学校(東大医学部)予科を卒業。陸軍軍医となり、ドイツへ留学する。帰国後、軍医学校長、軍医総監等を歴任するかたわら、文学者としても創作、翻訳、評論に巨大な足跡を残す

東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長、現「幽」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kaizen@名古屋de朝活読書会

106
文学の翻訳による紹介。怪奇談。鴎外の原点を知るのによい資料。 怪奇ものが嫌いな人には勧められない。2013/05/07

優希

85
創作と翻訳によって成る怪奇譚。同時代のヨーロッパの怪奇小説を紹介しているだけではなく、自らも好んで怪奇小説の筆をとったように思われます。文章が格調高く、怪奇小説というには美しすぎる印象を受けました。どちらかというと幻想的な雰囲気が漂っている気がします。それでも多彩な創作と翻訳を織り込んだという点では「怪奇名作集」と言ってもいいでしょう。2016/10/05

藤月はな(灯れ松明の火)

84
『日本の夏はやっぱり、怪談』企画がきっかけで再読。10日までは和もの括りでしたが、翻訳ものも収録されているので反則かも^^;改めて読むと「刺突」の背信と冒涜ぶりに慄く。そして「鼠坂」、「蛇」などの不可解な出来事が何故、起きたのかが明かされない部分が怪談として成立する要となっている。しかし、その後で客観的な視点を持つ語り手によって飽く迄、合理的な解決策が見出だされるのだ。同じく、語り手によって事象が客観的に語られようとするも客観になれない為、最後まで煙に巻くヘンリー・ジェイムズ作品とは対極的だ。2020/08/03

竹園和明

41
鴎外の『鴎外全集』にも収められる事がなかった問題作「魔睡」を登載。同作は明治41年の作品で、当時流行した催眠術を題材とした作品だが、大学教授の妻が医師に催眠術をかけられ昏睡状態で関係を結ばされたのではないかと夫が訝る…という内容が刺激的過ぎて、鴎外は当時の首相から呼び出しを喰らいペナルティを科せられたという逸話付きの作品。実際には全く刺激的ではないのだが、その作り自体が当時はご法度だったのだろう。翻訳作品含め鴎外が奇怪な分野に傾倒していた時期の短編だが、格調高き文体故か、恐さよりも端麗な筆致が印象的。2019/04/26

藤月はな(灯れ松明の火)

15
森鴎外氏の怪奇小説の翻訳を読んで無声で字幕だけが流れる仄暗い明るさを潜ませた映画を観てるような気分になりました。「正体」の不気味さはカフカの「流刑地にて」を連想しました。「二髑髏」の陰惨な戯れと「負けたる人」の立場の逆転にゾクゾクしてしまいます。2011/10/24

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