内容説明
哲学は、生きることが苦しくなったときに役に立つ。それはまた、自分と他人、自分と社会の関係を深く了解するための“技術”でもある。こうした観点から、「私」とは何か、「他者」とはどういう存在か、「世界」とは何か、「死」をどう受け止めればいいのかといった、人が生きていく上で深く考える理由のある問題を、平易な言葉で論じていく。「自分」をよりよく生かすためのヒントに満ちた思想入門である。
目次
第1章 「私」という存在―人はなぜ「私」にこだわるのか
第2章 「他者」という存在―なぜ他人は「私」を脅かすのか
第3章 自己と欲望―人生は欲望ゲームの舞台である
第4章 恋愛における欲望―男女のかかわりとエロティシズム
第5章 「私」と世界―人はこの世界とどうかかわっていくのか
第6章 生と死のあいだ―死をどう受け止めるかが生の姿勢を決める
著者等紹介
竹田青嗣[タケダセイジ]
1947年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。早稲田大学国際教養学部教授。哲学者・文芸批評家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yukicks
3
自己と他者、そして社会との関係をどうとらえるか。人生はルールのある欲望のゲームであるという。人間は既存ルールにロマン性を見出し、そこにエロスを感じる存在。そのルールはソシュールのラングとパロールの関係ように変遷する。そのルールは他者から模倣するものであるという。幼児期に人間は我慢することで褒められるエロスを獲得する。また成長すると自己像を作りだし、挫折を味わうが恋愛というロマン性にエロスを見出す。色々考えさせられた。2011/02/02
nomaltricky
2
中島らもの「何十年に一回くらいしかないかもしれないが、『生きていてよかった』と思う夜がある。一度でもそういうことがあれば、あとはゴミクズみたいな日々であっても生きていける。」という言葉は、ニーチェの永劫回帰のことだったんですね。2009/05/27
mukashi
1
生きる意味は欲望のみから生まれるという論に首肯する。竹田の主張は大乗仏教で言うところの煩悩即菩提とか衆生所有楽といった「物語」に呼応しているようにも思える。2019/10/15
いとぅー
1
約20年前の思想書という事で、今の価値観で読むと違和感を感じる部分も確かにある。しかしそれは些末な部分の話であり、それ以上に今読んでも納得できる内容の方が優に多い。出版されてからの世の中の出来事を当てはめるようにして読むとそれぞれに理解が進み腑に落ちる点も多々(最近の政治にまつわる事まで)、年月を経て説得力を増している。欲望によって人間の生き方ひいては世界の在り様が形作られていく。ポスト・モダン理解の足掛かりになる所もあった。図書館本だったのでちゃんと買って線を引きながら読み込みたい。2015/08/02
ワイルドストロベリー
1
ふと、何のために生まれたのか、生きる事に何の意味があるのか考える時がある。生きていくとは苦しみの連続だと、言う言葉にまさにそうだな、誰しもそんな事を心に抱きながらいきていくのだと安心した。そして死ぬ時不安から解放されるときなんだ。それまで、生きよう。2015/07/14