ちくま文庫
樋口一葉和歌集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 229p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480421043
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0192

内容説明

一葉が作った和歌のうち、秀歌約500首を選び、新年・春・夏・秋・冬・恋・雑の7章に分けて補注・脚注を付した。近世和歌と近代短歌のはざまにあった一葉の歌作修行は題詠の蓄積が多かったものの、その天性の詩才は従来の伝統的な美意識を凌駕し、なかでも窓の歌は小説の文体や着想とも密接なかかわりを持つ。「歌人」一葉の才能を垣間見る、貴重な初の文庫版和歌集。

目次

新年の歌
春の歌
夏の歌
秋の歌
冬の歌
恋の歌
雑の歌

著者等紹介

樋口一葉[ヒグチイチヨウ]
1872‐1896。東京の府庁構内長屋に生まれる。本名奈津。幼いころ草双紙を読み、和歌を学んだ。十九歳のとき半井桃水に師事して創作を始め、第一作「闇桜」、ついで「うもれ木」によって注目される。下谷龍泉寺町で荒物・駄菓子屋を始めるが失敗。再び創作に専念し、「にごりえ」「十三夜」「たけくらべ」などを次々に発表。二十四歳にして肺結核で死去

今井恵子[イマイケイコ]
1952年東京都生まれ。歌人。「まひる野」「音」を経て短歌ユニット「BLEND」を創刊。フェリス女学院大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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双海(ふたみ)

22
なっちゃん(樋口夏子)の和歌集です。書名が短歌ではなく和歌というのがまたよい。「歳暮月  くれて行く年の道さへみゆるかとおもふばかりにてる月夜かな」(明治24年12月)・・・歳晩の候にぴったりな一首でした。2014/12/21

マリカ

18
24歳で短い生涯を閉じた一葉の、14歳で歌塾に弟子入りしてから晩年までの歌が収録されています。季節ごとの歌は明治中期の時代を反映したような線の細い、淡い美しさをたたえている一方で、恋の歌は桃水への思いが満ちあふれ、筆跡の強弱まで目に浮かぶほど。「芦間より雲井はるかにたつ田鶴のへだたりゆくか君がこゝろも」思わず、はっと、息をのんでしまうような恋歌ばかりです。2012/02/09

ピンクピンクピンク

9
歌人樋口夏子さんの作品を新年、春夏秋冬、恋、その他とテーマ別に分け、題詠に沿って並べた和歌集です。門外漢ながら、季節の歌は美しく、恋の歌は情緒豊か、雑の歌は面白味があると思いました。そこに本人が投影されているのか、はたまたフィクションなのかあれこれ考えながら読むのも楽しいです。恋の歌が特に良かったかな。もうめちゃくちゃ可愛い。芯のある女性が詠む恋心に惚れてまいます。誰もが共感したり憧れたりする歌がそこにはあって、色褪せぬ魅力を放っていると思います。樋口一葉さんは本当に素敵です。2020/07/13

miyuki

2
11月13日より。題名にある通り、短歌集ではなく和歌集である。近世短歌と近代短歌の間でもがく文人の歌である。作家としての樋口一葉は有名であるが、歌人としては全くきいたことがなかった。それもそのはずで、彼女の歌は題詠的伝統和歌の作歌法の域をそれほど脱していない。わづかに見られる詩的情熱も、伝統的和歌の作詠法を前提に表れているので後世の短歌や詩とくらべるとやはり心詞一致の面で劣っているだろう。しかし近代短歌の影響を全く受けていない歌人の歌として、近代短歌が持っていない良さを存分に持っているのもたしかである。2014/11/22

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