• ポイントキャンペーン

ちくま学芸文庫
組織の限界

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 176p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480097767
  • NDC分類 336.3
  • Cコード C0133

出版社内容情報

現実の経済において、個人より重要な役割を果たす組織。その経済学的分析はいかに可能か。ノーベル賞経済学者による不朽の組織論講義!解説 坂井豊貴

ケネス・J・アロー[アロー,ケネス・J]

村上 泰亮[ムラカミ ヤススケ]

内容説明

「アローの不可能性定理」で知られ、社会的選択理論の確立に大きく貢献したケネス・J・アロー(1972年ノーベル経済学賞受賞)。本書は、その彼が組織について経済学的考察を行った先駆的な講演集である。アローは、まず個人を前提とした価格システムとしてのみ経済を捉える弊害を指摘し、「組織」という観点を導入する重要性を指摘する。だが、組織は価格システムを補完し、経済活動の向上に寄与する一方、ときに硬直化や不服従など別の問題も引き起こす。組織はいかに機能し、なぜ失敗するか。その弊害を乗り越えるにはどうすればよいか―20世紀後半を代表する経済学者による不朽の組織論講義。

目次

第1章 個人的合理性と社会的合理性
第2章 組織と情報
第3章 組織の行動計画
第4章 権威と責任(目標の対立;権威の価値;権威の達成;責任の価値;責任の達成;権威と責任の間の代替関係についての考察)

著者等紹介

アロー,ケネス・J.[アロー,ケネスJ.] [Arrow,Kenneth Joseph]
1921年生まれ。アメリカの理論経済学者。ニューヨーク市立大学シティカレッジ、コロンビア大学大学院に学び、スタンフォード大学教授、ハーバード大学教授などを務める。博士論文でもある『社会的選択と個人的評価』によって社会的選択理論の基礎を築き、1972年には、一般均衡理論と厚生経済学に関する先駆的業績により、ノーベル経済学賞を受賞。20世紀後半を代表する経済学者の一人である

村上泰亮[ムラカミヤススケ]
1931‐93年。経済学者。著訳書多数。主な著作は『村上泰亮著作集』(全8巻)に収録されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

37
1974年初出。合理性とは、手段と目的、二つの間の関係に関する。合理性は、目的の内容を特定化することはできない。究極的には、いかなる価値に関する議論も、分析不能な最終命題にたどり着いて、しばらく立ち止まらざるをえない(021頁)。組織の目的とは、多くの決定が、実際に成果をあげるためには多数の個人の参加を必要とするという事実を十分に生かそうとするところにある。組織とは価格システムがうまく働かない状況のもとで、集団的行動の利点を実現する手段なのである(053頁)。2017/08/09

Tomoyuki Kumaoka

16
ケネス・アローの1970年の講演をもとに書かれた組織の意義とその問題点について述べた本。アローの先見性を垣間見ることができる。情報の経済学や契約理論にもつながる話が所々見られ、ほかの経済学者にも多大な影響を与えたことが容易に想像できる。「権威は意思決定の集権化であって、情報の処理と伝達についてのコストを節約する」「情報を流れやすくする、また情報の価値を保存しながら縮約することができる仕組み=権威が持つ価値」「権威はそれ自身が何か誤りを犯したときに、権威外から情報を取得する機関の設立に責任を持つ必要がある」2017/03/26

月をみるもの

10
バーナード・ショー曰く『おのれの欲するところを他人に施すことなかれ。他人は違った好みを持っているのかもしれない』。その一方、著者によって「社会的な判断を、個人の選考を集計することでつくりあげようとする試みは、常に逆説へと導かれる」ことが証明された(http:://goo.gl/wt5BrS)。ということで都議選の結果を、あるいは所属する組織の意思決定の非合理性を憂う全ての人にオススメしたい。 2017/07/01

yuno

5
情報の視点を基礎に置いた組織論。組織の構成員による情報収集は勿論、組織内の情報縮約コストの削減のため、符号化様式(コード)が重要となる。しかしそれは組織の歴史に依存することになり、組織間の流動性を低下させる。情報や利害が異なる者同士では意思決定のコストが高いため、人格的又は非人格的(法律等)な権威が必要となる。その対概念として、責任についても分析している。それを権威として分析する。権威の対には責任があり、坂井豊貴先生の解説も、本書の後の情報の経済学の展開やアローと訳者(村上)の学問的関係に触れていて秀逸。2022/11/13

Mealla0v0

5
村上泰亮の翻訳ということで手に取ったが、村上の開発主義論にある「企業の(経営としての)開発主義」という論点との関わりがあるように思えた。本書は市場メカニズムの限界点に現れる「組織」を主題とし、「組織」とは「集団的行動を必要とし及び非市場的方法による資源分配という共通の特徴」を持つ政府や企業などの様々な組織、さらに制度を含むものである。組織は権威を必要によって集団的合理性を管理統制し、多くの情報チャンネルから収集した情報を意思決定に用い、不確実性に対処する。こうした組織の在り方と開発主義の方法は通底している2022/08/07

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11528372
  • ご注意事項