内容説明
幕末明治の天才画家・河鍋暁斎。狩野派仕込みの卓抜した腕前、明治の大物建築家ジョサイア・コンドルを弟子にとり、新し物好きで諷刺・茶化しが大好き、肉筆美人画から浮世絵、戯画、春画まで何でもござれの幅広い仕事ぶりだが、なかでも妖怪画・化物画は有名だ。本書はいにしえの「百鬼夜行絵巻」を踏まえて描いた遺作の版本、『暁斎百鬼画談』を全ページカラーで収録、奇にして怪、滑稽と愛嬌に満ちた妖怪たちの魅力を余すところなく再現する。近年再評価の機運著しい暁斎の、多彩な画業を俯瞰する、充実した解説を収録。暁斎の妖怪ワールドへようこそ。
目次
“妖怪的なるもの”の気配―『暁斎百鬼画談』を読み解く
『暁斎百鬼画談』
参考図版(『芝居説話画帖』より;『江戸名所伝奇画帖』1より;『江戸名所伝奇画帖』2より;『狂斎興画帳』より;『暁斎酔画』二編より;『暁斎鈍画』より;『暁斎楽画』第三号「化々学校」)
解説 蘇る巨人・河鍋暁斎
図版解説 妖怪たちはどこから来たのか
著者等紹介
安村敏信[ヤスムラトシノブ]
1953年生まれ。東北大学大学院修士課程修了。板橋区立美術館学芸員を経て、現在、同館館長。日本近世絵画史専攻。板橋区立美術館で、江戸文化シリーズと銘打ってユニークな企画展を継続的に開催、人々に広く日本の伝統美術に親しんでもらう機会を提供し注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
39
GWに行った妖怪・幽霊絵画展にも展示されていた作品も引用、紹介されていたので嬉しかったです^^読む順番を表か裏にするだけで印象が変わる妖怪絵巻も凄過ぎます。2013/05/08
こぽぞう☆
16
Bunkamuraでの暁斎展で購入。明治22年に刊行されたものをオールカラーで。とはいえ、文庫本なので絵が小さくて残念。「暁斎百鬼画談」の解説と、暁斎の生涯が文章で載っていて、わかりやすい。2017/09/04
rumi
4
暁斎の知識の幅広さに驚きまたそれをさらに奇想天外なユーモア溢れる図柄にする構成力♪好きだなぁ~2012/10/23
rapo
2
夏になると何かと目にする幽霊画や妖怪画。暁斎の幽霊画はぞっとするほどコワイけど妖怪画はどことなくユーモラス。文庫本ながらも絵が満載で楽しめたけど、小さくてちょっと見にくかったかな。名を狂斎から暁斎に改めた時のエピソードには人間味を感じてしまう。 2017/07/24
壱萬弐仟縁
2
カラーページがふんだんにあり、美術鑑賞が可能な本である。本物に触れることの価値を実感できる。「躍動感あふれる絵柄でありながらも色彩は淡白なものが多い」(011ページ)。目玉が飛び出たのはキモいが、滑稽でもあった(090-091ページ)。文字半分、絵画半分というような構成であるが、全体を通じて、崩れた感じの絵画にも妙な味わいがある。グロテスクな感じのする雰囲気を楽しめる一冊。2012/07/20