出版社内容情報
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内容説明
片寄ったものの見方を「色眼鏡で見る」という。カメラや望遠鏡は当然、形や色の歪みを極力避ける。しかしヘルムホルツがバイオリンの弦の振動のようすを可視化した光学器械は、振幅方向のみ、つまり歪みを強調する振動顕微鏡だった。ときに色眼鏡をかけ物を処理するのも大人の力量という含蓄のエッセイ「心眼を肉眼に」。ほかに、どう考えても不思議なエッシャーのだまし絵の謎とき。蚊取線香にクリップを留めるとそこで火が止まる。そのクリップの大きさは?などなど。初級者には多様な話題のおもしろさが、上級者には噛むほどに伝わってくる味わい深さが魅力の科学エッセイ。
目次
巻きひげの形の秘密
消しゴムの機構
魚梯
立ち消えする渦巻き線香
だまし絵の謎とき
量産の仕組み
自動化がなぜ必要か
昼間見る月はなぜ白い
物理の樹のはなし
刃物の切れ味
続・結晶の形はどうしてきまるか
心眼を肉眼に
風呂桶の渦巻き
煤の上にのこした記録
逆さコップの蓋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
42
青空をバックに月を見ているとき、本当は月は青空の向こうにあって、青空のフィルターを通して見ているはずだ、と。これは目からウロコだった。ラングミュアの電球フィラメントの研究は、一旦は脇道にそれながらも、みごとに本来の目的にかなった結果を出したのは興味深い。水の入ったコップにハガキを当てる実験もなかなか奥が深い。うーむそうでしたか。常識的説明にも再考を。2018/12/22
壱萬弐仟縁
31
1983年初出。鉛筆で紙に書くと、鉛筆の芯の中の石墨が紙の繊維にひっかかり、滑り面で滑って繊維にひっつく(031頁)。海の青い色は、水による光の吸収、水の 本当の色(・点)で、散乱でない(125頁)。鈴木増雄先生によると、アインシュタインは非平衡統計力学の父と言われる。安定的な系の不可逆性、輸送現象理論として、線形ラングジュバン方程式を提唱し、係数間に物理関係を要請。輸送係数を微視的ゆらぎの時間相関関数で表す表式を発見した(243頁)。2016/06/02
Shotaro Tsuji
2
「物理の樹」にあったラングミュアの研究の話が面白かった。2013/08/18
ptyx
1
★★★2010/12/18