内容説明
「人間科学」とは「ヒトとはなにか」を科学の視点から考えるものだ。現代科学は生命の起源を遡り、進化を論じる。ヒト遺伝子は既にその塩基配列がすべて解読された。それならわれわれは、ヒトについていったい何を「知っている」というのだろうか。もともとヒトは自分(脳)を尺度に世界を計る。では、「人間」を普遍的尺度としてヒトを定義することは可能なのか。ヒトに本来そなわる二つの情報系―「神経系=脳=意識」と「遺伝子系=細胞=無意識」という入射角からヒトという存在を捉えなおす。養老ヒト学のひとつの到達点を示す本格論考。
目次
人間科学とはなにか
ヒトの情報世界
世界は二つ
差異と同一性
生物学と情報
都市とはなにか
人とはなにか
シンボルと共通了解
自己と排除
ヒト身体の進化
男と女
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年神奈川県鎌倉市生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ入る。95年東京大学医学部教授を退官。現在、同名誉教授。著書に『からだの見方』(サントリー学芸賞)『バカの壁』(毎日出版文化賞)など多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jackbdc
3
約20年に書かれた本だが古さを感じない。生物学と哲学のハイブリッド。著者は若いころから「ヒトとはなにか」をずっと考え続けてたとのこと。関心があって読んでいるのだが、洞察が深く理解が難しい部分も多いので頭が疲れる。印象に残った点3つ、1.ヒトの情報世界:言語と能、遺伝子と細胞の2種類を定義する。2.都市:脳が作り出した反自然的な虚実として都市を定義付け。代表格は風習や社会制度。3.男女:男性的な視点が幅を利かす現状に疑問を呈しつつも、フェミニズムは都市的な視点にしか存在し得ないとその限界を示唆する。2021/06/13
さきん
3
より養老氏の専門が生かされた内容。養老氏は虫とつきあっているからか世の中に対する切り口がユニークで的確でおもしろい。ほかのつぶやき的な本より難しいと思う。2015/07/10
DRYM_8
1
あと2回りくらい読まねば。2010/10/22
Kotoko Sato
0
あと2~3回は読んで理解を深めないといけないけども。自分の頭がもっと足りてれば、突き詰めて勉強してみたい分野だなぁと思ったり。2013/11/17
めい
0
ザルのような頭でも輝きを感じる部分が有りました。自己についての認識が特に面白かったです。何度も読み返して理解を深めたい一冊です。2013/04/03