内容説明
有史以来、強烈なイメージを伴って人類が語り続けてきた宇宙誕生の物語。物理学の知識や天体観測の技術が飛躍的に向上した現在、われわれが「見る」ことのできる天地創造はどのようなストーリーだろうか?読者はワインバーグの易しく明快な語り口をガイドに、開闢間もない宇宙の姿を目の当たりにするだろう。文庫化にあたり、原著が出版されてからCOBE衛星による最近の観測までを概観した原著者自らによる追補を新たに収録、「ビッグバン宇宙論」を一躍有名にした古典的名著の決定版。
目次
1 序章:巨人と雌牛
2 宇宙の膨張
3 宇宙マイクロ波輻射背景
4 熱い宇宙の処方
5 最初の3分間
6 歴史的なよりみち
7 最初の100分の1秒間
8 エピローグ:これからの展望
原著者追補1 1976年以降の宇宙論
原著者追補2 1977年以降の宇宙論
解題『宇宙創成はじめの3分間』(佐藤文隆)
補遺
著者等紹介
ワインバーグ,S.[ワインバーグ,S.][Weinberg,Steven]
1933年、ニューヨーク生まれ。コーネル大学を卒業し、コロンビア大学でPh.D.を取得。現在テキサス大学教授。専門は素粒子物理学。1979年にS.グラショウ、A.サラムとともに電弱理論への貢献でノーベル物理学賞を受賞
小尾信彌[オビシンヤ]
1925年、東京生まれ。東京帝国大学理学部天文学科卒業。東京大学名誉教授。理学博士。専門は天体物理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mazda
16
1兆5000億度って、どんな温度なの…?そこから始まった宇宙が、少しずつ冷えていく過程の中で膨張し、物質同士が固定されて原子が出来ていく。謎が多すぎる。2019/02/09
赤い熊熊
10
読むごとに難解に思えるのは、私自身の加齢のせいだろうか。2017/07/31
やす
7
学生時代に読んでおけばよかった。後悔しきり。35年前の本なのでクォークが付け足しのように扱われているのが面白い。ZとかWとか創作した著者もクォークはあまりお気に入りじゃなかったのか。湯川先生にハイゼンベルグが軽蔑したように「君が新素粒子好きの湯川君か?」と中間子論に嫌悪を示した逸話を思い出す。内容は精密、通常天下り的に与えられる事項もなるだけ根拠を示す姿勢は超一流の理論物理学者ならでは。レプトン数はエントロピーに比例するってのは前提省略しすぎな気がするが、そういった障壁も必要なことと考えたのだろう。2012/10/10
らんまる
6
名著として有名だが、発展著しい宇宙論・素粒子論分野ではやや時代遅れ感は否めない。ここに書いてあることの大半はサイモン・シンのビッグバン宇宙論に載っている。2011/02/07
shinano
6
初版が70年代だからこの分野では古典になっちゃうけれど、宇宙論に興味あるならばこの書は必読だと何かで見たことがあった。天文物理観測からの宇宙に存在する水素とヘリウムの比率を説明できるように初期宇宙を描象できる理論を構築する。なかなか難しい内容である。宇宙マイクロ波背景放射として残存している光と宇宙温度の大昔(現在の宇宙年齢仮説からいうと約137億年前)のお話し。素粒子ごとにある「しきい温度」より宇宙温度が高いとき、おそろしく高いエネルギーの光子同士が衝突して、粒子と反粒子を対生成する。難しか~。2010/05/18