内容説明
福沢諭吉、徳富蘇峰、中江兆民、幸徳秋水。代表的な明治の知識人である彼らは、西欧的近代思想における市場活動をどう受け止めたのか。立脚点が大きく異なる彼らの思想を、市場に対するスタンスから読み解く。秩序はいかに形成されるのか。人々の欲望が交換関係のうちに相互に媒介される「市場」によって育まれるのか、あるいは、欲望を自覚的・道徳的に抑制することが要件なのか。著作の精読から、明治という新たな時代におけるそれぞれの秩序構想を掘り下げて、経済と道徳の密接不可分の関係を浮き彫りにする、思想史研究の名著。1991年度サントリー学芸賞受賞作。
目次
第1章 「独立」と「情愛」―福沢諭吉と市場社会
第2章 青年期徳富蘇峰における道徳と経済
第3章 中江兆民における道徳と政治―「近代的政治思想」とは何か
第4章 幸徳秋水における伝統と革命
補論1 独立・官吏・創業―明治政治思想史における「政治家」と「官僚」
補論2 経済的繁栄のなかの「市民」理想―『富と美徳』をめぐって
著者等紹介
坂本多加雄[サカモトタカオ]
1950‐2002年。名古屋市生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。元学習院大学教授。日本政治思想史専攻。日本国家の来歴をどう位置づけるかをライフワークとした。1991年、『市場・道徳・秩序』で、サントリー学芸賞と日経経済図書文化賞を受賞。『象徴天皇制度と日本の来歴』(都市出版、読売論壇賞受賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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編集兼発行人
denz