ちくま学芸文庫
宇宙をかき乱すべきか〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 240,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480089618
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0142

内容説明

相対性理論と量子力学を量子電気力学的に統合した数式「ダイソン方程式」を24歳で発表し、その後物質の安定性、相転移、重力理論等純粋物理研究の他、地球外知的文明、原子炉設計、核軍縮問題等広汎な分野で研究を続けている知性の巨人による自伝。科学のみならず、哲学、芸術、宗教等への深い造詣に裏打ちされた言葉は、科学・技術のあり方、ヒトという種の未来について叡智に満ち溢れている。宇宙論的視野に立ち、遠大な未来展望を与えてくれる本書は、基礎的な科学教養書の名著として名高い。下巻は、科学者の社会的良心、地球外生物の探索、宇宙空間の利用、心と思考の考察などのエピソードを収録。

目次

2 アメリカ(国防の倫理;ドーヴァー・シャープの惨死;ドクター・モローの島;アレオパジティカ―科学研究の自由について)
3 地平を超えて(遠くにある鏡;思考実験;地球外の生物と文明;クレードとクローン―生物学的進化と文化の進化について;銀河系の緑化;地球に戻って;神の企図からの論証;地と天の夢)

著者等紹介

ダイソン,F[ダイソン,F][Dyson,Freeman John]
1923年イギリス、クロウソーン生まれ。ケンブリッジ大学、コーネル大学大学院卒業。プリンストン高級研究所名誉教授。理論物理学者、宇宙物理学者。1957年アメリカ合衆国に帰化。アメリカ合衆国兵器研究所、国防省、航空宇宙局、軍備管理軍縮局の嘱託を務めた

鎮目恭夫[シズメヤスオ]
1925年東京生まれ。東京帝国大学物理学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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roughfractus02

6
上巻が物理学の英雄伝をかき乱すコメディアン的位置から物理学と戦争との関係を諧謔的に綴った自伝なら、本巻は人類自身が宇宙をかき乱す可能性を語るエッセイだろう。メイフラワー号等の新大陸への移民コストを宇宙進出と比較する著者は、1万人規模のコロニーや20人程度の小惑星移住の可能性を戦時中従事したオペレーションズ・リサーチの手法で弾き出す。その一方でエネルギーを自給するスペースコロニーの理想形態を恒星を覆うダイソン球として構想し、他方で宇宙進出を妨げる人類同士の核戦争のリスクを想定して、核を慎重に扱う方途を探る。2022/03/01

アノマリー

2
☆もちろん宇宙論が主軸なんだけども、その他にも技術論、文化論、文明論…と彼の考察の対象は幅広い。オッペンハイマーやファインマンとの邂逅、原子力技術に対する倫理感、エリオットなどの詩歌への造詣などかなりスペシャルな人であることがうかがいしれる。何度でも読みたい一冊。2012/11/19

AR読書記録

2
「天才」がどのくらい高みにいるかを思い知らされた本.こういう人が見ている,生きている,享受している「世界」は,私の「世界」とは全く別物だと言うことがよくわかりました.「思考実験」の章あたりからは本当にゾクゾクします.こういう人にとっては,SFって虚構のことではない,まだ実現されていない現実のことなんだ...とか思ったり.2010/09/02

山像

0
第III部「地平を超えて」ではいよいよSF的な思索が炸裂する。軍縮や核不拡散のようなウェットではっきりした白黒が付けられない政治の領域の話よりは、こちらの方が文章に勢いがある感。 ダイソンスフィアの提唱者はオラフ・ステープルドンだったとダイソン自身が書いていたのは知らなかった……。そしてその趣旨は「発達した文明にとって、ダイソンスフィアは普遍的」であり、故に「地球外文明探索のためにはダイソンスフィアから熱力学第二法則に従って放出される赤外線を探すべきだ」というもの。これも想像していたのとはけっこう違った。2016/01/26

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