ちくま学芸文庫
宇宙をかき乱すべきか〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480089601
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0142

内容説明

相対性理論と量子力学を量子電気力学的に統合した数式「ダイソン方程式」を24歳で発表し、その後物質の安定性、相転移、重力理論等純粋物理研究の他、地球外知的文明、原子炉設計、核軍縮問題等広汎な分野で研究を続けている知性の巨人による自伝。科学のみならず、哲学、芸術、宗教等への深い造詣に裏打ちされた言葉は、科学・技術のあり方、ヒトという種の未来について叡智に満ち溢れている。宇宙論的視野に立ち、遠大な未来展望を与えてくれる本書は、基礎的な科学教養書の名著として名高い。上巻は、生い立ちからファインマン、オッペンハイマー等一流の科学者たちとの交流などのエピソードを収録。

目次

1 イギリス(魔法の都;ファウストの救い;少年十字軍;ある詩人の血)
2 アメリカ(科学の徒弟;アルバカーキへのドライブ;F6峰登頂;前奏曲変ホ短調;小さな赤い校舎;一九七〇年までに土星へ;清教徒、モルモン教徒、宇宙教徒;平和への調停)

著者等紹介

ダイソン,F[ダイソン,F][Dyson,Freeman John]
1923年イギリス、クロウソーン生まれ。ケンブリッジ大学、コーネル大学大学院卒業。プリンストン高級研究所名誉教授。理論物理学者、宇宙物理学者。1957年アメリカ合衆国に帰化。アメリカ合衆国兵器研究所、国防省、航空宇宙局、軍備管理軍縮局の嘱託を務めた

鎮目恭夫[シズメヤスオ]
1925年東京生まれ。東京帝国大学物理学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

15
理論物理学者F.ダイソン自伝。1923年生まれ、現在も健在。2014年には東大(柏)で講演している。原書は1979年。英国生まれ。英空軍の戦略爆撃に関与。戦後、米国コーネル大学を経てプリンストン高等研究所へ。そこでオッペンハイマー、ファインマンらロスアラモスで原爆開発を主導した面々と親密に交流。エピソードから彼らの人柄・思想がわかり興味深い。ダイソン本人は天才にありがちな独善さはなく非常に柔軟。自分の意識の変遷を率直に語っている。後にケネディ政権下で核実験停止交渉に携わる。宇宙をかき乱す方の話は下巻か?2018/06/07

roughfractus02

9
自身の自伝の方法論を「文学的」と呼ぶ著者は、そのキャラクターもランダムにテーマが移り変わる物語進行も喜劇形式で書いたかに思える。ファインマンとのアメリカ横断は道中物であり、原爆の父オッペンハイマーと水爆の父ケラーとの親交を綴る言葉は、道徳的観点からすれば楽天的で無邪気すぎる一方、その諧謔を帯びた語調には物理学と戦争に関する自虐を超えた倫理的葛藤も見え隠れする。朝永、ファインマン、シュウィンガーの繰り込み理論の等価を証明した著者だが、物理学の英雄伝の中では物語を「かき乱す」コメディアン役を自ら演じたようだ。2022/02/28

山像

2
SFファン的にはダイソン球の人、ただ理論物理学者の自伝ということから事前に想像していたよりははるかに“熱い”本だった。とにかく倫理的に行動する人という印象のエピソードに事欠かず、政府機関で軍縮や核実験禁止などの仕事も担当していた。 個人的に読めて良かったと思うのはファインマンとのエピソードで、『ご冗談でしょう~』では原爆開発という人道の瀬戸際においてすら奇人ぶりを遺憾なく発揮して人をおちょくってばかりいるこの人物にはあまり好感を抱けなかったが、ダイソンはその背後にも倫理的な葛藤があったことを見出している。2016/01/21

sanewo

2
原子力発電開発のくだりは考えさせられる2011/09/28

みやったー

1
物理学を専攻した学生にはダイソン方程式でお馴染みのF・ダイソンの自伝。著者はダイソン球などの奇抜な発想でも知られ、自由奔放な人格の持ち主を想像していたが、この自伝では大戦の時代を生きる科学者としての、著者の倫理的葛藤と苦悩が色濃くにじみ出ている。同時代の偉人たちとの交流関係も描かれており、オッペンハイマー(原爆の父)との師弟関係や、テラー(水爆の父)との親交関係も興味深かった。個人的にはテラーと著者の初めての会話が好き。2018/06/09

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