ちくま学芸文庫
ドーキンスvs.グールド

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 187,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088789
  • NDC分類 467.5
  • Cコード C0145

内容説明

生物の行動パターンやありようを「利己的な遺伝子」によって説明し、適応は遺伝子の淘汰であると考えたリチャード・ドーキンス。古生物学者として大量絶滅に可能性を見いだし、進化は偶然に助けられたとして「断続平衡説」を説くスティーヴン・J・グールド。現代における進化と適応についての研究成果をさまざまな側面から公成にたどることにより、この2人の視点を徹底的に検証。論議の応酬が絶えなかった20世紀の生物進化における最大の論争に決着をつける。本邦初訳。

目次

第1部 開かれた戦端(視点の衝突)
第2部 ドーキンスの世界(遺伝子と遺伝子の系統;生物の世界における遺伝子淘汰;延長された表現型と無法者;利己性と淘汰;淘汰と適応)
第3部 ハーヴァードからの眺め(地域的なプロセスか、地球的な変化か?;断続平衡説;大量絶滅;カンブリア紀の生命;進化のエスカレーター)
第4部 論争の現状(科学は闇のなかの灯か?;論争を要約してみれば)

著者等紹介

ステルレルニー,キム[ステルレルニー,キム][Sterelny,Kim]
オーストラリアのシドニー大学で哲学を修め、現在、ウェリントンのヴィクトリア大学の哲学教授。オーストラリア国立大学でも教鞭を執る。専門は生物学の哲学、心理学の哲学など

狩野秀之[カノウヒデユキ]
1963年生まれ。東京大学教養学部卒業。新聞社勤務のかたわら翻訳業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

32
グールドが行ったのは科学に潜むイデオロギー批判ということでしょう。しかし、批判理論にはオルタナティブは示せない。とすれば、自然とドーキンスが優勢になっていく。そもそも人間が何かを認識して理解するにはイデオロギーが必要である。グールドが何かを示すことはかえって彼の言説を裏切ることになる。したがって、グールドがドーキンスの批判に終わったことは彼らの間に優劣がついたわけではない。これを優劣だと考えることはドーキンスの示したイデオロギーに絡めとられていることになる訳です。何だか資本主義とマルクス主義みたいですね。2021/01/26

Miyako Hongo

7
読みたかった本。この二人の仲の悪さの解説本(下世話で申し訳ない)。□一番腑に落ちたのが、分子生物学のドーキンスと古生物学のグールドという対比。ドーキンスは科学至上主義者でグールドはロマンチスト。□事実は一つでも真実は見る人の数だけある。とりあえず論争の軍配はドーキンスに上がっているのだけれど、だからってグールドの面白さが変わる訳じゃないんだよなあ。2020/06/10

けん

6
スキルアップに追い回される現代人は、とかく人生を淘汰モデルのアナロジーで考えてしまいがち。「がんばらないと淘汰されちゃうよ?がんばろうぜ」というのがドーキンスさんで、「人生?んなもん運だよ運。淘汰(笑)」というのがグールドさん。というのは極端な解釈だけど、精力的なナイスガイがドーキンスさんで、陽気なニヒリストがグールドさん、くらいは言っていいのかもしれない。2010/05/13

きざはし

3
両者の主張の違いを見事なほど簡潔にあぶり出す。論点は大きく二つ。①淘汰は遺伝子に作用するか個体に作用するか。②進化は漸進的か断続的か。読後に思うのは、①はどちらとも言え(両立可能)②はどちらとも言えない(証拠不十分)のかな、と。『ドーキンス vs グールド』なんてタイトルだが、どちらのフリークもむしろ冷静になれる。2011/07/01

nekora

2
科学者としてはドーキンスの方が伝統的正統派なのに、人文的政治的見地からは逆にとらえられるという。2018/01/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/34
  • ご注意事項