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ちくま学芸文庫
性家族の誕生―セクシュアリティの近代

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088659
  • NDC分類 367.9
  • Cコード C0136

内容説明

日本人のセクシュアリティは、文明開化による「西洋性科学」の流入をうけ、大きく変貌する。それまで自然なものにすぎなかった「性欲」に人々の意識は強く囚われるようになり、その中心に特権化された身体部分=性器が据えられる一方で、色情は貶められ貞操が重視される。この流れのなかで、性を制御・隠蔽しつつ、「強い男/弱い女」幻想を作りあげ戦争推進力へと変換する、巧妙な中間装置となったのが、「家族」であった。近代日本の性の変遷を、通俗的な書物や図版をもとに、緻密に解析する。

目次

序 透谷、処女を論ず
第1章 色情のエチカ
第2章 文明開化のセクソロジー
第3章 性欲の時代
第4章 性家族の肖像
第5章 男らしさの病と女らしさの病
第6章 戦争と母性愛の時代

著者等紹介

川村邦光[カワムラクニミツ]
1950年福島県生まれ。東北大学文学部卒。天理大学教授を経て、97年から大阪大学教授。このごろでは、近代日本のセクシュアリティ観の変化を探っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ymazda1

3
文明開化以降に流入した西洋知識が近代の家族像を作り上げ、国家は、その家族像を戦時の総動員にうまく利用したみたいな内容。 「ディスクール」といった構造主義臭のする言葉がむやみやたらと連発されるわりには巨視的な視点が感じられない印象。。。 自分的には、この本に書かれた細かい話とはほぼ無関係に、国民国家じたいが、国民と国家の紐づけのために、規範的な「家族」概念を、装置として必要としているように思えたというか。。。

まあい

1
明治から戦時中までのセクシュアリティ史をたどった良著。性的価値観の変容を、当時の大衆的メディア(雑誌など)を通じてリアルに描き出す。現在の性的規範を考えるうえで、もっと広く読まれるべき一冊。2015/05/20

富士さん

0
再読。江戸時代後期から大戦期までの性愛観の変化をあとづけた本。江戸時代後期にはおんなが先の“女夫(めおと)”という男女表記があったこと、大正期の中産階級は歴史的な上流階級の血統に対して、一度汚れたら取り返しのつかないという意味では神話的な、自分の努力で守り得るという意味では自助努力的な“純潔”というイデオロギーで対抗したこと、昭和期には女性を女神としての処女と肉便器としてのビッチに分ける処女厨が発生し、男は戦場で大いに下半身を活躍させたこと、など。刺激的な指摘に富んだ興味深い本でした。2016/04/03

名前ちゃん

0
大学の教科書。 男性中心主義なのって空気すぎて今更感あるので逆に思いめぐらすことがない。最近明治大の女子に薬物盛った事件でセカンドレイプが多発してたので 昔の性犯罪の受け止められ方についての章を読んで、現代も意識はそう変わらないことに気づいた。2014/07/19

結城あすか

0
性家族というのは、えっちなことばかりやってる家族ということではなくて、男女の性の規範や概念が不可分のように結び付けられた家族のことだにょ。これは明治から昭和初期にかけての日本人の性観念の変化を、庶民に身近な家庭医学書などを資料に、文学や社会事件も踏まえて綴られた本だにょ。これが性意識がどうやって開放されるようになって来たかって話なら多少は面白いんだろうけど、逆に規制されていく過程を綴ったものだから、本のページが進むにつれて退屈になってくるにょ。2005/03/03

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