内容説明
中国・黒龍江省の省都、哈爾浜(はるぴん)。19世紀末、帝政ロシアの南下政策により、満州進出の極東経営の拠点として建築された都市である。単なる植民地の居留地ではなく、「東方のモスクワ」たらんとして、ロシアが心血を注いで建設した美しい都市であり、第一次大戦後は極東において上海に次ぐ国際色豊かな都市へと発展した。やがて都市経営の権力をめぐり、中・日・露、三つ巴の闘争が開始される。「満州国」成立後は、日本によって国内には存在しない、理想的で雄大な都市計画が立案され、着手された。本書は、時代と国際関係に狭間に咲いた哈爾浜の激動の歴史を活写し、アール・ヌーボー都市の全貌を余すところなく描きだす。
目次
1 東清鉄道
2 都市建設の始まり
3 建築と都市美
4 市制問題と都市経済
5 伝家甸と八区
6 鉄道利権回収と中ソ紛争
7 満州国初期の計画立安過程
8 都邑計画の実施状況
9 結び
著者等紹介
越沢明[コシザワアキラ]
1952年、東京生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。現在、北海道大学大学院工学研究科教授、国土交通省の社会資本整備審議会委員、財団法人都市計画協会理事。日本都市計画学会石川賞、日本不動産学会賞、日本造園修景協会賞、アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞などを受賞。中国・長春市政府より都市計画顧問の称号授与
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。