ちくま学芸文庫
シャーマニズム〈下〉―古代的エクスタシー技術

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  • サイズ 文庫判/ページ数 466p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088383
  • NDC分類 163.9
  • Cコード C0114

内容説明

「最も重視したのは、シャーマニズム的現象そのものを紹介すること、そのイデオロギーを分析すること、その技術とシンボリズムと神話とを検討することである」(序言)。著書の意図は明らかだ。実証的個別研究の一つとして本書を遇しては、その意図を見誤ることになろう。「超歴史的」、「類型的」アプローチから見えてくる宗教現象の普遍的古層こそが、エリアーデには重要だった。世界の再神話化を目指す、すぐれて20世紀的な試みとして本書を読むことが可能である。本巻には、南北アメリカ、東南アジアとオセアニア、印欧系諸民族、日本を含む東アジアを扱う第9章以降を収録。

目次

南・北アメリカのシャーマニズム
東南アジアとオセアニアにおけるシャーマニズム
印欧系諸族におけるシャーマンのイデオロギーと技術
チベット、中国および極東におけるシャーマンのシンボリズムと技術
相似せる神話、シンボルおよび儀礼
結論

著者等紹介

エリアーデ,ミルチア[エリアーデ,ミルチア][Eliade,Mircea]
1907‐86年。ルーマニア出身の宗教学者、作家。ブカレストに生まれ、ブカレスト大学ではルネサンス哲学を修めた。インド留学、母校での教授生活を経て、40年以降文化アタッシェとしてロンドン、リスボンに駐在。戦後亡命生活に入り、45年からパリ高等研究院教授、56年の渡米後はシカゴ大学教授。宗教の形態学的・現象学的研究の第一人者

堀一郎[ホリイチロウ]
1910‐74年。宗教学者、民俗学者。柳田国男の女婿。東京大学名誉教授。東北大学、東京大学で講じる。エリアーデとは、その著作の翻訳やシカゴ大学客員教授として親交があった
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感想・レビュー

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夜間飛行

66
上巻に続き世界各地のシャーマニズムを紹介し、その本質を論じている。例えばエスキモーが海豹母神に豊猟を頼みに行く儀式もあれば、北米やアジア各地のシャーマンが病人の魂を呼び戻す儀式もある。そこではいずれもエクスタシーによる異界への旅が主題となる。一方、インドネシアの葬礼で泣き女が歌う《死者の舟》は儀礼的なものだが、元を辿ればシャーマンが呪的治療に用いる《舟》と同質らしい。このようにシャーマニズムがイデオロギー化して儀礼の中に組み込まれている場合も多い。いずれにせよシャーマンは黒呪術師にない社会性を持つようだ。2017/04/20

roughfractus02

6
シャーマンには大地の豊穣を願い、人々の病を癒す役割がある。自然変動と生老病死は平面運動するヒトには回避不能な未知である。エクスタシーの垂直運動は、未知を情報化するイデオロギーと実体化する一連の技術を作り、儀式に組み込んで、未知への不安と恐怖を抱く人々を統治する。天空と地下(海底)は未知の空間化(他界)であり、それを伝える物語手順(出発-冒険-帰還)は未知の時間化である。宗教の本質には「この世の終末」へ向かう世界の水平軸を垂直軸に位相変換して「楽園の復活」に変えて統治しようとする意志がある、と著者は捉える。2021/07/11

2
上巻に引き続き、自分の音楽の即興演奏と関連づけて読みました。テーマ/モチーフ、精神性、イメージetc…音楽に取り込む事でまた違った表現が出てきそうな予感。音楽関係無く、シャーマニズム自体にも興味が持てる、盛りだくさんな内容でした。

sibafu

2
シャーマニズムとは、Wikipediaによると「シャーマン(巫師・祈祷師)の能力により成立している宗教や宗教現象の総称」とある。そのシャーマニズムに関する事例がいろいろな著書から引用される形で膨大な量が収められている。この量は凄いけど、これでも地域的に不足している部分があるんだろう。解説にも書かれているように言語的な問題もあり、日本のシャーマンについては少ないのだろうし。シャーマンと言っても、巫師、巫女、祈祷師、呪医と表せるように様々なタイプがあって面白い。この本を読むのは大変だけど。2013/03/20

カールステンセン

1
岡本太郎がエリアーデの本、特にシャーマニズムについての研究に影響を受けたと聞いて読みました。「聖と俗」に続いてエリアーデ2作目です。「聖と俗」で使われていたモデルがここでも見られ、理解しやすかったです。物凄い数の参考文献と事例の数に圧倒され、碩学とはこういう人を指すのかと思いました。仏教や聖書、神道の源流のようなものを汲み取れた気がします。宗教の起源について興味が有ればかなり面白く読めると思います。2020/03/17

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