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ちくま学芸文庫
シャーマニズム〈上〉―古代的エクスタシー技術

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  • サイズ 文庫判/ページ数 479p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088376
  • NDC分類 163.9
  • Cコード C0114

内容説明

著者はシャーマニズムを「エクスタシーの始源的な諸技術」と定義する。その担い手たるシャーマン、聖の専門家はいかにして誕生し、どのような活動を行うのだろうか。膨大な資料を駆使しつつ、シャーマンの召命と試練、象徴的な死と再生、めざましい超能力や、それを支えるコスモロジーに説き及ぶ本書は、比較宗教学あるいは宗教形態学の古典であるとともに、原初の世界と人間の普遍的な型に迫ろうとする情熱的な思想の冒険行でもある。本巻には、イニシエーションの諸相、衣裳と太鼓のシンボリズム、中央・北アジアのシャーマニズム、宇宙論などのテーマを含む第8章までを収録。

目次

概説 成巫方法=シャーマニズムと神秘的天職
イニシエーション的疾病と夢想
シャーマンの能力の獲得
入巫儀礼(イニシエーション)
シャーマンの衣裳と太鼓のシンボリズム
中央および北方アジアにおけるシャーマニズム(天界飛翔と冥界下降;呪術的治療―魂の導き手としてのシャーマン)
シャーマニズムと宇宙論

著者等紹介

エリアーデ,ミルチア[エリアーデ,ミルチア][Eliade,Mircea]
1907‐86年。ルーマニア出身の宗教学者、作家。ブカレストに生まれ、ブカレスト大学ではルネサンス哲学を修めた。インド留学、母校での教授生活を経て、40年以降文化アタッシェとしてロンドン、リスボンに駐在。戦後亡命生活に入り、45年からパリ高等研究院教授、56年の渡米後はシカゴ大学教授。宗教の形態学的・現象学的研究の第一人者

堀一郎[ホリイチロウ]
1910‐74年。宗教学者、民俗学者。柳田国男の女婿。東京大学名誉教授。東北大学、東京大学で講じる。エリアーデとは、その著作の翻訳やシカゴ大学客員教授として親交があった
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

66
シャーマンはエクスタシー(肉体からの魂の離脱)を技術として使う者であり、《宗教的危機によって仲間から切り離され》《まことの生活を悲劇的高尚さと美を伴う精神危機によって始める》存在である。つまり夢・病・試練のイニシエーションを経て、薬草・太鼓・憑依などの手段で「死」に到達する者なのだ。本来シャーマンが登場しなかったアルタイ人の馬の供犠では、シャーマンの介入により犠牲獣の魂を神に《直接、しっかり》手渡せるようになったという。このようにシャーマンは宇宙・神学的概念を具体的な体験に変える《魂の支え手》なのである。2017/04/13

roughfractus02

9
シャーマニズムにおいては、脱魂と憑依は平面移動するヒトなる生命が垂直軸の存在を直観する2つの実践的表現である、と著者は捉える。エクスタシーは「脱魂」と訳されるが、本書では上昇し下降する垂直運動と解されている。現代の心理学(危機の病理)や社会学(呪術の社会的機能)を念頭に置きながら、著者は宗教史歴史家の立場で神話学領域に踏み入り、さらに膨大な民族学資料に分け入る。本巻では、シベリア、中央アジア、オセアニアの資料から時空を超えた「楽園への郷愁の痕跡」を入門儀礼での古代技術や梯子、虹、柱等の空間表象に見出す。2021/07/10

しんかい32

6
精読するのはそうとうしんどい本だと思うが、細部にこだわらずざらっと流してみたらけっこう面白く読めた。人間の信仰には共通のパターンがある、というのが著者エリアーデの基本的な主張で、世界のさまざまな神話や儀式が結び付けられていく様子はなかなかスリリング。ただなにしろ莫大な情報量なので、全体像をしっかり把握するには何度も読み返す必要があるだろうな。2010/06/08

quinutax

2
「宗教的人間の立場から眺めると―これが現在のわれわれの研究が関わり合う領界なのだが―精神的に故障のある患者は、なりそこないの神秘家、もしくは、よく言って神秘家の戯画《カリカチュア》たるを証するにすぎぬ」p69 個々のシャーマンの成立について事例を眺めることによって、宗教学・民俗学・社会学・精神科学の立ち位置もみえてくる。2019/03/13

Ecriture

2
シベリアと中央アジア41、エクスタシー42、トランス43、死者・精霊との交信44、治療47、精神的危機53、自ら治す病人70。2015/04/20

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