ちくま学芸文庫
ズニ族の謎

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  • サイズ 文庫判/ページ数 476p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480088345
  • NDC分類 389.53
  • Cコード C0139

内容説明

北米先住民・ズニ族は、人類学者たちにとって、永いあいだ大きな謎の存在でありつづけた。その身体的、言語的特徴が周辺の諸部族と際立って異なり、類縁関係が認められなかったのだ。かれらは一体何者で、どこからやって来たのか。本書は、この問いに極めて大胆な仮説を提示する。文化、身体的特徴の類似、考古学的遺物の存在などから、室町時代に日本人が太平洋を渡り北米大陸に到達し、原ズニ族に文化変容を与えたのではないか、と。形質人類学、海洋学、考古学、言語学などの成果を採用しつつ、文化人類学のみならず、人類の移動史に大きな発想の転換を促す、知的刺激に満ちた書。本邦初訳。

目次

第1章 プエブロの展望
第2章 宇宙の中心を目指す
第3章 砂漠を越えて
第4章 太平洋岸と潮流
第5章 船と浅瀬
第6章 歯と骨、血液と疾病
第7章 言葉と流浪者
第8章 親族とカチナ―社会混入者の文化保存
第9章 コスモロジーと宗教―コッコとカミ
第10章 「菊と刀」再訪
結語 イティワンナ―宇宙の中心

著者等紹介

デーヴィス,ナンシー・Y.[デーヴィス,ナンシーY.][Davis,Nancy Yaw]
1936年、アラスカに東南部にある島の町シトカに生まれる。アメリカの女性人類学者。シカゴ大学で修士号、ワシントン大学で人類学の博士号(Ph.D)を取得。現在アラスカ州、アンカレッジの「文化力学研究所」で、エスキモーその他の先住民文化に関する研究を続けている。学術論文多数

吉田禎吾[ヨシダテイゴ]
1923年、東京都生まれ。東京帝国大学文学部心理学科卒業。東京大学名誉教授。専攻・文化人類学

白川琢磨[シラカワタクマ]
1953年、香川県生まれ。慶応義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。福岡大学教授。専攻・文化人類学、宗教学
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

14
ズニ族。中世の日本人の一団が北米大陸に渡りネイティブアメリカンの一部族になったというのは、すこし眉唾だが、ロマンがあり、固定観念を蹴散らす意識のオプションを教えてくれる。ただ、コロンブス以前の渡来遺物、発掘物について一切無視を決め込む米アカデミーの姿勢には驚いた(自分の恩師を否定できなかったり、プライドで眼が曇るのは日本も、いや何処でも一緒か)。白人の世界は現実主義そうで、やっぱコンサバなんだな。2014/06/05

うにこ。

2
室町時代に日本人が世界の中心に巡礼するためにアメリカ大陸にわたってそこで先住民になったという説を論じた本。山ほどの反論を脳裏に浮かべつつ、ついでにツッコミも入れつつ、訳注でまでツッコミ入れられてるのを苦笑しつつ読んでたのですが、海洋学や考古学、生物学にも言及し、作者がそう思う論拠を出していく展開は、章を追うごとにただの珍説と退けるのを躊躇うだけの説得力が出てきます。思考のきっかけのための本として読むとすごく面白いんではないかと。 ここから更に研究が発展した時、この本は高い評価を得るんじゃないかなあ。2011/08/13

adhvanya

2
5年前ぐらいに中断していたのを再読。解説にもある通り、単純な語彙比較によるズニの言葉と日本語の共通点探しはまったく説得力はない。にも関わらず、菊の紋章をはじめとするズニ族と日本人の関係性、先住民居住地からたくさん見つかる東洋の痕跡、彼らが持たなかったはずの鉄器など、東洋とアメリカ大陸との交流は実はコロンブス以前にも活発だったのではないかと思わせる材料が目白押し。個人的にはかなり昔に日本人が南米にいた事の証拠がある事の方に驚いた。2011/05/10

結城あすか

1
考古学的調査ではズニ族が現在のズニ族になったのが1350年頃。その時代に日本人の集団がやってきてズニ族と一緒になったという話にょ。縄文時代から日本人は太平洋を行き来していて、エクアドルに縄文土器を伝えたとか、『魏志倭人伝』に登場する裸国、黒歯国というのはハワイやアメリカ大陸のことだとか言うような話よりは信憑性がありそうな気がするにょ。2005/07/11

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